swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

医療・健康

子どものADHDとゲーム依存症

カロリンスカ研究所の最新の研究結果は、ADHDと早期に診断された子どもの3人に1人はテレビゲームと健全な関係を築くことができず、依存症になってしまう可能性が高いと指摘する。 この研究は小学校高学年の子どもを持つ親に、子どものゲーム依存やスマホを使…

パンデミックと依存症

9月の末にコロナ対策としてのリモートワークの要請がなくなってから2ヶ月近く。長く続いた在宅勤務中に、従業員がお酒や薬物さらにはギャンブル依存症になったことに気づき、支援を求める企業が増えている。 SVTのインタビューに答えていたのは、民間の依存…

SNS上の美が若い女の子の心を蝕むとカロリンスカ研究所

スウェーデンのカロリンスカ研究所からも、SNSと若い女性の精神状態の悪化の相関性に関する新しい研究結果が発表された。SNSで現実にはあまりないような作られた「美しい顔や体」の画像を見続けている女の子たちは、自分の体に対する否定的な感情を持つよう…

気候温暖化で北欧にやってくる昆虫や感染症による新たな健康リスク

気候危機による身の危険というと、この夏のドイツやベルギーを襲った大雨や浸水のことなどがすぐに頭に浮かぶが、スウェーデンに住む私たちにも、気候が温暖化したことにより、もっと身近なところで危険が身に迫ってきている。 それは、巨大なマダニや毒を持…

金持ちと貧乏人の間で広がるばかりの健康格差

ちょっと考えると、まぁ、そういうことだろうなとは理解するけれど、ここまで赤裸々な統計はこれまで見たことがなかったような気もする。 金持ちで高い学歴を持つ人は健康的な暮らしを送って長生きし、貧乏人はいろんな病気にかかって早く死ぬ。 これはダー…

脱化石燃料で健康に、健康になると脱炭素へ

11月にグラスゴーで開催される国連気候サミット(COP26)にむけての記事だが、ダーゲンス・ニュヘテルの「健康」カテゴリーで面白い記事が掲載されていた。 英国の著名な気候変動と公衆衛生の研究者であるアンドリュー・ヘインズ(Andrew Haines)教授は、「…

代えのきかないピルの在庫と優先順位

ドイツのバイエル社が製造しているQlairaというピルが、スウェーデン全国で在庫切れ中で、11月まで入荷しない見込みとなっている。Qlairaは避妊用ピルとして使用されるだけでなく子宮内膜症を患っている人にも処方されているが、これと同じ成分で作られてい…

性同一性障害を持つ子どもへのホルモン治療をめぐる論争

ストックホルムのカロリンスカ大学病院は、性同一性障害を持つ子どもへのホルモン治療を中止することを決定した。治療法はまだ不確実で、患者へのリスクを伴う可能性があるとの判断からされたこの決定への、反論の声も高くなっている。 ストックホルムのKID…

血液型は占いではなく、病気の診断や治療に使う

スウェーデンの人口の約半数を対象とした超・大規模な研究でわかったのは、血液型と特定の病気になるリスクとの間の明確な関連性。 この研究 を指導したスウェーデン・ルンド大学の血液・輸血医学部のマーティン・オルソン教授は「もしもひとつの血液型がす…

週にたった6分の筋トレで健康に

14日間の隔離生活と連日、母が作ってくれるおいしいごはん(とたっぷりおやつ)で、なんだかすっかり運動不足になり3キロも体重が増えてしまった私が反応した今日のニュースは「週にたった6分の筋トレで体力増進」という、昨日SVTで放送された、家でのトレ…

コーヒーでよく眠る

春眠、暁を覚えず? 春眠でなくても、昨年の国民健康調査で睡眠が足りていないと回答したスウェーデン人は42%にのぼる。眠りが足りないと不安やストレスへの耐性も弱くなる。来週の日曜日からはまた夏時間になるし、ここはひとつ眠りを見直したいところだ。…

女性に顕著なコロナ禍の運動不足

コロナの第二波の真っ只中だった昨年12月中旬に行われた調査では、スウェーデンではパンデミックで人々の運動量は減っており、それは特に女性において顕著だということがわかった。 メーラールダーレン大学が実施したのは、1000人を対象にした運動量に関する…

食品の砂糖含有量マークで変わる購買行動?

緑、黄色、赤、黒の4つの色でその食品の砂糖含有量を分類して、スーパーの店頭の価格表示のタブに表示する取り組みがスウェーデンの一部のスーパーで始まっている。 その食品から得られる熱量のうち砂糖からのものが5%以下である場合は緑のSマーク(砂糖…

開発の進む男性が肩に塗る避妊用ジェルは市販化されるのか

かねてより開発が進められてきた、男性が透明のジェルを肩と上腕に塗ることで精子の量を減らす避妊法、人呼んで「Pジェル」(PはPreventivmedel 避妊薬から)。 これまで2年間で、世界から420組のカップルがPジェルの臨床実験に参加したが、スウェーデンか…

決まりきった(つまらない)日常が救う、コロナの中のメンタルヘルス

コロナ禍で人々の精神状態がどう変わったかについて、世界で行われた10程度の異なる研究結果をスウェーデンの公衆衛生庁がまとめてレポートとして発表している。 Covid-19-pandemin och befolkningens psykiska hälsa – vad indikerar longitudinella studie…

自閉症スペクトラムでも適応してしまう女の子たち

「女性は社会的な規範に自分を適応させることに長けています。学校の成績もよく、特別ではなく「普通」の友人や興味を持とうとします。ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)だと診断されることも少ないのです」と、カロリンスカ研究所のスヴェン・…

コロナで広がる子どもたちの健康格差

スウェーデンの公衆衛生庁は子どもや若者に一日最低1時間、身体的な活動を行うことを推奨している。そのうち週に3回は心拍数があがる運動がよい。 しかし最近の研究では男の子で44%、女の子で22%、さらに高校生女子の間ではたったの14%しかこの公衆衛生…

マジック・マッシュルームをうつ病治療に

カロリンスカ研究所とストックホルム広域圏医療は共同で、いわゆる”マジック・マッシュルーム”に含まれるサイケデリック成分であるシロシピンをうつ病の治療に使用する研究を開始する。 研究プロジェクトのカロリンスカ研究所サイドの責任者であるヨハン・ル…

『スマホ脳』

三連休なのにスマホばっかりみてません? 最近のスウェーデン発の本では『ファクトフルネス』が日本でも大好評ですが、同じくスウェーデンで旋風を巻き起こした『スマホ脳』が新潮新書から発売されました! アンデシュ・ハンセン、久山葉子/訳 『スマホ脳』…

変わる、獣医を取り巻く環境

近年スウェーデンで獣医の数は増えているにも関わらず、ペットを診察してもらえる予約を取ることができない人が増えている。 以前と比べると動物の診察用のレントゲンや検査器具なども充実してきており、それと比例するかのように犬や猫などペットの診察で獣…

マインドフルネス副作用

テンポの速いストレスフルな毎日に対処する有効な手段として、アップルのスティーブ・ジョブズが実行していたことでもよく知られるマインドフルネス。その効果を実感する人も多いなかで、マインドフルネスで逆に不安を感じたり鬱になってしまう人もいるとい…

どこまでも甘いスウェーデン

いや、コロナ対策の話じゃなくて、飲み物の話です スウェーデンに引っ越してきた当時、ケーキのサイズの大きいことと甘いことに驚いた(辟易した?)ものだが、そんな思い出も遠い昔。最近はスウェーデンでもお手頃サイズの洒落たケーキもいくらでも手に入る…

医療的自殺幇助を法に問うスウェーデンの医師。年老いた自分の使い方

「私の行いは法に反することなのかどうか、裁判で法に問いたい」 こう語るのは77歳の医師、ステファン・ベリストロームさん。 ベリストローム医師が行ったのは、自ら死を望んでいた難病ALSの男性患者に、致死量の睡眠薬を手配したこと。この男性は7月頭にス…

15万人の手術待ち

「スウェーデンでは医療体制がこわくて、おちおち病気にはなれない」と日本の方に話すと驚かれる。多くの人は、なんとなく「スウェーデンは医療や福祉が充実している」と思ってくれているので、私の話はまったくそのイメージにそぐわない。 世界最高レベルの…

コロナとトレーニング

昨日は、今回のコロナ禍で突然全国民の前に立つことになった公衆衛生庁のもう一人のアンデシュである、アンデシュ・ヴァレンステンのインタビュー記事を読んだ。 主席疫学官であるアンデシュ・テグネルを補佐する次席疫学官のアンデシュ・ヴァレンステンは、…

コロナと緩和ケアの、辛いけれども大切な仕事

スウェーデンには、人が人生の最期をどう迎えたかを記録する「緩和ケア記録」(Palliativ registret)」という世界でも他に例をみない制度と機関がある。病院や高齢者特別住宅で人が人生の最期をどう迎えたかを記録し、その最期の時間をよりよいものにするこ…

コロナが暴く「ニュー・パブリック・マネジメント」の危うさ

「(コロナの時代の)今、より明確になってきたのがニュー・パブリック・マネジメント(NPM・New Public Management)やジャスト・イン・タイムといった利益追求型の組織体制は、医療や福祉の場では提供側にも享受側にも機能しないという点だ」。 先日の日曜…

睡眠アプリで眠れなくなる?

公衆衛生庁の最近の調査では39%の人がよい睡眠を取ることが難しいと答えているスウェーデン。不眠症と診断されている人の割合は全体の約10%のレベルで長らく大きな変化はないが、ちょっとした「寝付けない」「夜中に目が覚める」ことを気にする人が増えて…

神から呼び戻された? 5000人

今後ますます集中治療室も、医療用機材、用具もそして医師や看護師など医療で働く人も不足することがわかっているストックホルム広域圏では、医療資格を持つが現在は医療で働いていない人や以前に勤務経験がある人から臨時職員を募ったところ、木曜日までに5…

ずっと続く正念場

昨日の夜のニュースで司会者は公衆衛生庁の責任者のアンデシュ・テグネルに、今スウェーデンで誰もが気になっていることをグサリと質問した。 「(スウェーデンだけ社会的隔離も行わず、他の国とずいぶんやり方が違うが)これは正しいのか? 間違っていたら…

© Hiromi Blomberg 2023