swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

環境・気候危機

気候と地球の「正義限界点」はとうに超えている

水曜日にNatureに掲載された、この新しい研究結果に世界でどれだけの注目が集まるだろうか? ヨハン・ロックストロームを始めとする世界から50人の科学者が3年掛けてまとめたこのレポートは、今のところは豊かな北半球に住む多くの人にはあまり影響はないが…

【スウェーデン流・気候変動に対するサステナブルアクション11】ペットボトル回収から環境に配慮したホテルステイまで

いつもコラムを連載させていただいているELLE ACTIVE! For SDGsで、スウェーデンでのサステナブルアクション紹介しています。どうぞよろしくー。 スウェーデン在住のコラムニスト・ブロムベリひろみさんが、現地で暮らし、環境認定マーク付きの電車で旅をし…

国を訴えて、王様から表彰される

この度、スウェーデン国王から勇気、思考、行動の伴った若者へ送られるKompassrosen賞で表彰された19歳のアンドレアス・マグナソンは、気候アクティビスト。この賞は国王の財団「Ungt Legarskap(ヤング・リーダーシップ)」から毎年5人の目覚ましい活動を行…

今、すでに、もう

早ければ、もうすでにこの夏、世界はパリ協定の1.5度の温暖目標を超えてしまう可能性があることをSVTの気候変動問題解説員、エリカ・ビェーストロームが伝えている。私がこのブログを書き始めるきっかけにもなり、スウェーデンで700人が暑さを要因とするスト…

北欧通信 107 あなたの家具の二酸化炭素排出量

今週のニュースレターではマルメで目下開催中の展示会について取り上げています。 マルメのフォルムデサインセンター(Form/Design Center)で、素材と二酸化炭素排出量に関するミニ展示会が開催中だ。昔ながらの木でできた椅子と金属パイプとレザーを使った…

北欧通信 105 アースデイ / ストックホルムの自転車事情

昨日、4月22日はアースデイだった。それに合わせて参加したエルのアースデイ企画の紹介と、今週はストックホルムへも行ったので、そこで見た最新自転車状況のレポートも合わせてどうぞ。 swelog.theletter.jp ***** 「北欧通信」はスウェーデンの気になるニ…

気候政策をリードするEU。遅れるスウェーデンにロックストロームが警告

昨日は私のヒーローが朝のテレビニュースに出ていた。 タイム誌の2023年の「世界で最も影響力のある100人」のうちの一人としても選ばれた、環境科学研究者のヨハン・ロックストロームは、スウェーデンはとても危険な状態にあると警告する。 time.com 彼は、E…

ヨーロッパで気温が50度を超える日もそんなに遠くない

EUの環境モニタリングプログラム「コペルニクス」がまとめたところによると、2022年の夏は数多くの気象記録が更新され、1979年にコペルニクスの測定が始まって以来2番めに暑い夏を記録した。ヨーロッパの気温は世界平均の2倍の速さで上昇し続けており、工…

歴史的なEUの気候変動対策関連案が可決されたのだけれども

4月18日(火)に欧州議会で、気候変動対策関連法案が可決された。これが何を意味するのか、SVTの気候変動問題解説員が説明していたので紹介したい。 jp.reuters.com 今回、欧州議会が承認したのは、2030年までに二酸化炭素排出量を2005年比で62%削減すると…

国会で続く抗議の叫び声

国会の聴衆席から抗議の声がこだまするとの記事タイトルに、どの議論の時に誰が何を叫んだのか、と内容を確認したら、はい、あれですね、みなさん覚えているだろうか、2月末のミュージックコンテストのテレビ生中継の際に「湿地帯を回復せよ!」との横断幕…

なんのためにレジ袋税を廃止するのだろう

税制が変わるのは修繕費についてだけではなかった。現行のレジ袋への課税はこの年末から廃止されるかもしれない。電気自動車への補助金の停止もそうだし、どうしてこれまで進めてきたポジティブな政策をいちいち変更しなければいけないのか。 swelog.thelett…

オランダの自転車野郎たちが阻止するプライベートジェット

オランダ・アムステルダムのスキポール空港が、深夜0時以降の航空機の離着陸を禁止して年間1万便程度のフライトを削減し、さらにはプライベートジェット機や小型のビジネス用航空機も禁止する措置を2025年から2026年にかけて実施する計画を発表したことは、…

修理・修繕に関する消費税率を今引き上げるなんて、政府はアホなのか?

H&Mなどスウェーデンのファスト系ファッション企業が揃って、スウェーデン政府が行った今回の税率変更を批判している。4月1日から6%だった修理・修繕費の消費税を12%にする税改革が行われていた。見逃していたけど昨年10月30日にはこんな記事がでていた。…

政府の気候政策にダメ出しをした気候政策諮問委員会とは

スウェーデンにはある時期に「権力は腐敗する、都合のいいようにごまかそうとする」ということを徹底的に考えた人たちがいて、それを防ぐためのさまざまな仕組みを作ったことが、今のスウェーデンの透明性の高い社会を支えているとつくづく思う。 スウェーデ…

粉末ビールで減らす二酸化炭素排出量

今日は北欧ですらないドイツからのニュースなのだけど、へぇーと思ったので書かせて欲しい。 ドイツ東部にある醸造所がビールを輸出する際の二酸化炭素排出量を減らすため、粉末タイプのビールを開発した。修道院ビール会社Klosterbrauerei Neuzelleは、この…

IPCC報告書と、私にもできる一番有効な気候危機対策【追記あり】

スウェーデン最大の日刊紙ダーゲンス・ニュヘテルの今日の朝刊第一面はこんな感じだ。 「私たちはおそらく、歴史上最も重要な岐路に立っている」 DN:s förstasida tisdag. pic.twitter.com/ODqdMYvFQi — Peter Wolodarski (@pwolodarski) 2023年3月20日 国連…

フィンランドのNATO加盟批准手続きとスウェーデンの最悪のシナリオ

トルコはフィンランドのNATO加盟申請を批准する手続きを始めると発表したが、スウェーデンはテロ対策の分野で必要な措置をとっていないとして、スウェーデンの申請には応じないとした。スウェーデンのNATO申請が数ヶ月から最大で1年ほど遅れることになれば…

北欧通信 99 売れなくなった電気自動車

今週もニュースレター配信しています。どうぞよろしく♡ swelog.theletter.jp ***** 「北欧通信」はスウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるswelogが、週に一回お届けするニュースレターです。その一週間のブログ記事を、レターでしか読めない最新記事と…

北欧通信 98 科学への信頼を貶める政治家たち

スウェーデン全大学の環境・気候問題の関係者を対象としたアンケート調査では、半数以上が「科学に対する信頼が低下していると感じる」と答え、環境・気候科学の今後に懸念があると回答した人は85%に達し、そして4分の1以上の人が「自分の研究や発言を理由…

気が滅入るニュースばかり、でも「市民的不服従」に再びパワーをもらう

土曜日の早朝、SVTのニュースサイトを覗いてみると、トップニュースは50代の男性の射殺事件、3つ目にはマルメで銃撃事件があり10代の若者4人が負傷したというニュース。そしてそれらに挟まれて2つ目に掲載されているのは、英国で30年ぶりに炭鉱が開設される…

科学者だからこそ、アクティビストに

昨日の記事で取り上げたユーロヴィションソングコンテストの生中継ステージに侵入した気候アクティビストは、ルンド大学の博士課程で研究するディビットさんで、彼がSVTの取材に応じていた。 土曜日の事件の後、会場から追放されたディビットさんに関しては…

気候変動アクティビストが人気のテレビ音楽生中継番組に侵入

土曜日の朝にも気候変動アクティビストのポンテュスさんのことを書いたばかりだけど、週末に行われたユーロヴィジョンソングコンテストの予選でも、気候変動アクティビストによる大胆な行動があった。スウェーデンにいる人は、この話みんなもう知っていると…

北欧通信 97 食品ロスは人気のアプリだけでは解決できないよ!

以前にElleの連載でも取り上げた食品ロスへのスウェーデンのスタートアップの取り組み。最近は、以前から人気だったパン屋さん、ケーキ屋さん、レストランやスーパー、コンビニなどで廃棄されるはずの食品を、簡単に購入してピックアップできるアプリの人気…

刑務所で服役する気候変動アクティビストの考え

直接の知り合いではないのだけれど、その存在を知る人が実刑を受け、マルメの刑務所で2ヶ月間服役中だ。 私もよく知るルンドのIT企業で以前は働いていたポンテュスさんが刑務所に入ることになったその理由は、気候変動のためのプロテスト。ポンテュスさんは…

水銀を含む蛍光灯の禁止で大幅な省エネを実現、なのだけど。

EUの決定で、スウェーデンでも大きな変化がでそうな話をもうひとつ。 欧州委員会は2022年3月、水銀を含む蛍光灯の段階的な使用禁止を決定した。これは環境とエネルギー政策の面でポジティブな決定だが、スウェーデンでは不動産所有者の多くがまだこの決定に…

雪の減った未来に向けて準備するクロスカントリースキー大会

週末のニュースレターに続いて、もう少しだけ暖かい冬の話を。 今週からスウェーデン各地では順番に、子どもたちがウインタースポーツを楽しむためのスポーツ休暇に入るが(今週はヨーテボリを中心とした地方、来週は南部スウェーデン、その次がストックホル…

北欧通信 95 北の国から(とっても怖い)暖冬便り

今日もこちらは最高気温が8度くらいになりそうなのだとか。やっぱり暖冬傾向だなー。 私が自分の肌感覚で、なにかが徹底的に変わってしまったのではないかと感じたのは、スウェーデン各地で暑くなった2018年の夏だったが、この2022/2023年の冬も同じような感…

最先端の北欧建築! 木造高層ビルとソーラー型サウナに見るサステナブルな未来 【スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし vol.17】

スウェーデン北部のシェレフテオにある「サラ文化センター/ウッドホテル」 Visit Skellefteå こんにちは! 2021年10月から、Elle Activeで「スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし」の連載が始まってから、早くも1年半程経ちました。今回17回目…

10万人の車通勤者に2週間の電車バス定期券を無料で提供

このキャンペーンで車通勤者の習慣を変え、一人でも多く公共交通機関の利用者を増やそうとしているのは、スウェーデン中西部地域の公共交通の運行を担うヴェストトラフィック社(Västtrafik)。同社はヨーテボリを中心としたこの地方に住む人のサステナブル…

「スウェーデンの環境政策は間違っている」

との発言の主は、気候変動問題に関して私たちが大きな信頼をよせる、ポツダム気候研究所所長でストックホルム大学教授のヨハン・ロックストローム。ロックストロームは、今のスウェーデン政府は気候政策をすべてエネルギー政策で解決しようとしており、世界…

© Hiromi Blomberg 2023