今週の水曜日にスウェーデン政府から発表されたのは、40の項目からなる「男性による女性への暴力に対抗するための対策パッケージ」。
今、スウェーデンで日常的に男性から虐待を受けている女性は10万人以上、その環境で暮らす子どもは20万人を超すと説明したメルタ・ステネヴィ男女平等担当大臣は「殺害されたり、虐待されたり、性的な暴力を受けたりする女性がこれほど多くいるというのは、社会としての失敗である」と話す。
スウェーデンでは目下、国をあげて犯罪組織への法的取締を強化し成果を出してきているが、16日の記者会見では法務大臣が「女性への暴力問題をギャング団の取締と同等の厳しさで取り締まっていく」とも表明した。
具体的には今回の対策パッケージは、より多くの男性が起訴され刑罰を受けることも目指している。より多くの事件が起訴につながるように、どのように明確な証拠を確保することができるかに関する決まりも含められた。
また、多くが不安定な状況で運営されている各地の女性や少女のためのシェルターは、今後長期的な資金面に関する安定を目指して国が見直しを図ることになる。
40の項目は4つの大きな分野に分かれて説明されており、それは
①暴力の防止
②暴力の被害にあった女性や子どもへのより適切な保護と支援
③罰則の強化
④女性への暴力についての社会的な知識の底上げ
から構成されている。
罰則にかんしては、現在は買春しても罰金だけですむような状態から、すべて起訴して裁判が行われるようにすることなどが提案されている。④に関しては女性への暴力に関する統計を改善する必要があることが指摘されている。これにより、スウェーデンではさらに多くのレイプやDVが数字として上がってくることになるだろう。
DVやレイプは加害者と被害者との間での問題ではなく、社会の問題だと強調するステネヴィ大臣は、これまでスウェーデンが国としてとってきたやり方に非常に批判的だ。移民の間で多いと言われるDVも移民の間だけの問題ではなく、スウェーデン全体がそれを許さないのだ、という覚悟が必要だともいう。
この政府の決意が今、暴力に苦しめられている10万の女性、20万人の子どもたちへ、どうか届け。