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住宅街を守る警備員

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パリでフランス語を勉強していた時のクラスメートにメキシコ人のマリアがいて、彼女は政府高官の娘だった。そのマリアが「私たちは柵のなかの住宅地で暮らしている」と話していたことを強烈に覚えている。治安が悪いので、彼女の家族が住む住宅地はぐるりと柵で囲まれていて、入り口には24時間警備員が監視していると聞いて驚いた。25年くらい前のことだ。

そして、そんな住宅地を囲む柵こそないものの、地区を警備員が監視するという状態が、スウェーデンでも始まっていると聞き、再び驚く。

ニュースで取り上げられていたのはストックホルム郊外のTäbyという住宅地。一軒家の所有者でつくる地区の管理組合や集合住宅の管理組合が、警備会社と契約を結び、地区の見回りを依頼することが急激に増えている。取材に答えていたLarm Assistant社は、2、3年前には10程度の住宅組合を巡回していた程度だが、今では50以上の地区を回ると答えている。

背景にはこちらも増加する空き巣の被害、さらには、地区で警察の配備が手薄であると住民が感じていることが挙げられている。安心・安全を行政が保証することができず、民営化されて、一部のゆとりのある人たちだけのものになるのは複雑な気持ちになる。

住宅地での警備員需要が増えている(SVT) 

© Hiromi Blomberg 2023