swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

増える高齢者の借金

f:id:hiromi_blomberg:20210810164810j:plain

65歳以上の高齢者が抱える借金が増えている。2017年末には180億クローナ(約2300億円)だった65歳以上の人の債務はこの4年で20億クローナ増え、昨年末には200億クローナ(約2580億円)を超えた。

これは近年、いわゆる団塊の世代の人たちがどんどん定年退職する年齢に入っており、その人たちの借金が加算されていることによる、と、国民の債権処理を扱う国家執行機関、Kronofogdenの広報担当者が説明している。

「利息は利息を生む」の逆もまた真なりで、借金も一度返せなくなると雪だるま式に増えていく。最近目立つのが認知症などにより請求書を見落とすなどして、元々は数千円程度の請求書が、滞納による手数料や延滞金などであっという間にに数万円の借金となってしまうケースだ。(この問題に対しては、予め作っておく委任状により、配偶者や子供が代わりに請求書の処理ができるなど、手続き上の変化も起こっている)

国家執行機関は、借金でどうにもならなくなった人には、日本で言ういわゆる自己破産=債務整理の申告をすることを勧めている。2016年に改定された債務整理法では申請がしやすくなっており、それを受けて近年申請件数も申請が認められた件数も増えている。長期に渡って借金を抱えている人は、年金退職者になってからその借金を返済できる可能性はほとんどなく、債務整理は再出発のほぼ唯一の手段となる。

今の年金のレベルは勤労者の給与や生活費のレベルと比較すると低すぎるという理由で年金制度の抜本的な改革を求める声も高いが、このような大きな変革に合意形成するには時間がかかりそうだ。

年金だけの生活に入る前に借金は返しておくこと、また借金は返せなくなると雪だるま式に増えていくことをキモに命じておこう。

借金で国家執行機関(Kronofogden)行きの高齢者が増える(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023