ストックホルム郊外のハーニンゲ・コミューンに昨日オープンしたのは、高齢者向け住宅内でLGBTQI認定を受けた対応棟。
LGBTQI認証とは?
1950年に発足した、スウェーデンの性的マイノリティのための全国組織、RSFL。
RSFLでは、性的マイノリティの立場から職場環境を見直したり性的マイノリティの人たちへの理解を高める教育プログラムを運営しており、終了した組織には「LGBTQI認定証」を発行していて、現在約500の組織がLGBTQI認証を受けている。
この高齢者向け住宅のLGBTQI対応棟で働くスタッフは、RSFLによるLGBTQIの歴史やセクシュアリティの問題がどう変化してきたかに関する、4回にわたるトレーニングを受講する。
スウェーデンでは、これまでにもスタッフ個々人がRSFLによる認証を受けている例はあったが、高齢者向け施設の部門全体でLGBTQI認証を受けるのは、このハーニンゲの施設が初めてだという。
今、高齢者として施設に移ってくる人たちの中には、自分のセクシュアリティを恥じたり辛い目にあってきたりした人たちが多い。担当者は、この施設に暮らすことになるそのような人たちも、快適にそして安心して暮らしてもらうためには、認証の獲得はとても大切で重要なステップだったと語る。
施設でインタビューに答えていたのは94歳のアリスさん。
「昔はそんなこと人々の口にものぼらなかった、歳をとるとなおさら。でも志向や考え方に関わらず、みんな同じ価値を持つものとして扱われるべきです」。
これには私も激しく同意する。
しかし、スウェーデン全体の傾向としては社会の理解が進み、わざわざLGBTQI認証をとることは減ってきている(上記リンクの記事を参照されたし)のに、高齢者向け住宅が今認証獲得に乗り出すということは、問題が起きているということの裏返しでもある。
スウェーデンで生まれ育った人ならいざしらず、今は国全体の15%近い住民がいわゆる移民。価値観が衝突することも多そうだ。
そういえば、昭和の日本に生まれた私もLGBTQIに関して、どこかでなにかを教えてもらったこともないし、実はスウェーデン基準に達しておらず、教育が必要な一人なのかもしれない。