GoogleやFacebookといったシリコンバレーのテック企業は、有給育児休暇を社員に提供することで優秀な人材を確保しようとしているが、その実社員は社内の競争から取り残されるのを恐れてか、育児休暇は思ったほど取得されてはいない。
そんな取材記事がダーゲンス・ニュヘテルに掲載されていた。アメリカはOECD加盟国の間で、唯一国が有給の育児休暇を制定していない国だ。
連邦政府が規定しているのは12週間の無給の育児休暇のみだが、カリフォルニア州では最低5週間の有給育児休暇を保証する法律が昨年制定された。ニューヨーク州にも同様の規定がある。またGoogle、Facebook、Netflix、RedditやSalesforceといった企業は、12週間から14週間の育児休暇手当を全額支給、もしくはその期間が倍で手当は給与の半分といった福祉厚生プログラムを提供している。
10年ほど前には焙煎したての美味しいコーヒーや無料のレストラン、職場でのマッサージが提供されていた職場環境も、社員の平均年齢が上がり、また女性社員も増えたことで、卓球台やビアバーがあった場所にも授乳室などが作られるようになった。Googleでは育児休暇の提供により、女性社員の離職率が半分になった、とこの記事にはある。
そうはいってもまだまた社員が長期で休暇をとることになれていないアメリカの企業では、権利はあっても、それをすべて使う人はとても少ない。また育児長期休暇をとった後、簡単な仕事に回される人も多く、そのあたりでのマッチングもうまくいっていないようだ。
今年の3月にテック企業を始めとするアメリカ企業200社が有給育児休暇法の制定要請をアメリカ議会に提出し、バイデン政権は目下検討中。制度ができても企業の文化が変わるにはアメリカでも時間がかかりそう。スウェーデンでは長期の育児休暇のない社会なんてもう想像もできないくらい、当たり前の日常になっているけれど。