選挙により選ばれた政治家の4人に1人は、嫌がらせや誹謗中傷、脅迫を受けていることをスウェーデン国家犯罪防止委員会(Brå)が調査でまとめた。
特にひどい被害を受けているのはストックホルムの市会議員たちで、主にSNS上またメールなどで連日憎悪のこもったメッセージを受け取っている。中には家の塀に殺人予告めいた落書きをされた人もいるし、娘と地下鉄に乗った直後にその様子を撮った写真がスマホに送られてきて「娘とお前の居場所はわかっている」との脅迫を受けた人もいる。
このような被害を受けてもほとんどの政治は警察に通報しないことも調査で明らかになった。ひどい脅迫メッセージを連続して受けとったストックホルムの市会議員は、事態を深刻と見て警察に通報。裁判にもかけられたが、結局脅迫した人は文面による脅迫だけで実害がないということで釈放されてしまったとも話す。彼は司法が現実に合わせて変化していくことを望んでいる。
2014年からストックホルムの交通局を率いるダニエル・ヘルデーンは、私がよく取り上げる電動キックボードの話題などでも頻繁にニュースで見かける顔だ。ヘイトスピーチにさらされることは日常茶飯事で、フェイスブックには彼への悪口を書くためだけのページまである。
そんなヘルデーンは、政治家の日常がヘイトであふれる現状は民主主義への驚異であるとコメントしつつも、来年にはストックホルムでの仕事をやめ、国政選挙に出馬することを決めた。罵られても、脅迫されても、よりよい社会のために政治家を続けてくれる人の情熱と勇気にはありがとうというよりほかない。
偶然なのか、全体を反映しているのか、それともSVTの意図的な選出なのかはわからないが、脅迫された体験を話していたのはリベラル党、社会民主党、環境党の議員たちでいずれも中道から左派だ。これだけ見るとスウェーデンにもいわゆるネトウヨさんたちが連日ヘイトなメッセージを量産しているみたいだな。