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スウェーデンの風力発電推進の鍵を握る中国マネー

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中国はグリーンエネルギーで世界をリードすることを誓い、スウェーデンは世界で最初のカーボン・ニュートラルな国の一つとなることを目指す。そんな両国の思惑が重なり合い、今スウェーデン最北部で着々と建設されているヨーロッパ最大規模の風力発電パークは、中国政府直下のエネルギー企業China General Nuclear Power Group (CGN・中国広核集団) が所有する。

ダーゲンス・ニュヘテルの報道によると、全体が完成すると1101基を擁することからMarkbygden 1101と呼ばれる、スウェーデン最北部ピテオの超大型陸上風力発電パークは、スウェーデンがグリーンエネルギーへと舵を切る際に中心となる役割を果たす。

このあたりは人口も少なく、風の状態も風力発電に最適な土地。この地に今そびえ立つ179基はCGNが所有しており、パーク全体の完成を目指して工事が続く。ほんの数年前までは、ここは北極圏にほど近い過疎の地だったが、現在では世界30ヶ国からの技術者たちが働く場所となった。

今、世界の風力発電をリードするのは中国で、昨年は世界の新規風力発電への投資額の半分を中国マネーが占めた。CGN社は既にこのピテオの案件を含んで、スウェーデンで6つの風力発電パークを所有し、2021年はスウェーデンの風力発電生産量全体の11%を生産する見込みだ。

CGNがスウェーデンでの風力発電への投資を本格化させた頃、アメリカ政府はCGN社を米国企業との取引を禁止するブラックリストに載せた。アメリカの各技術と軍事目的で盗んだと非難されたからだ。また、今年、英国もCGNを国内の新規電力事業から排除する計画があると、英紙ガーディアンが報じている。

英、原発事業から中国企業排除を計画=ガーディアン紙 | ロイター

スウェーデンでは5G通信網の開発から、安全保障上の理由で中国企業であるファーウェイを排除したことが記憶に新しいが、この風力発電には一国のエネルギーを他国の政府が資本を握る企業に預けてしまうという安全保障上の問題はないのか? 同時にこの中国の巨大マネーがないと、スウェーデンは再生可能性エネルギーへの移行による気候目標を達成できない恐れがある。

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遠くから見ていると、ゆったりとして罪がなさそうにみえる風力発電。

このピテオの風力発電パークまで見渡す限り遮るもののない、広大な自然を窓の外に望む家に住む高齢のご夫婦は、昔は夜は空一面に輝く星の光がそそぐだけだったが、今は発電基につけられている緑や赤の照明が点滅を繰り返し、まるで夜の遊園地のようだと話していたのが印象的な記事だった。

中国国有企業はこうしてスウェーデンの風力発電所の大株主になった(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2021