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教育大臣が「世界の悪い見本」と嘆くスウェーデンの現状

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「世界の中で悪い見本となっており、こんなことを続けているのは国際的にみてとても恥ずかしいことです」と話すのは、新しくスウェーデンの教育大臣になったリーナ・アクセルソン・シールブロム。

スウェーデンで初めて、トランスジェンダーで大臣となった彼女だが、目指すのはもちろんトランスジェンダーとして大臣をやることではなくて、今のスウェーデンが抱える学校の問題に取り組むことだ。

彼女を教育大臣に選んだアンデション首相から託されたのは、子どもたちの成績を向上させ、格差をなくし、若者たちがギャング団にはいってしまうのではなく学校で学ぶことを選ぶようにすること。

アクセルソン・シールブロム大臣は、子どもたちのほとんどが高校へ進学できない荒れていた基礎学校の校長として、それまで続いていた負の連鎖を断ち切り劇的に高校への進学率を高めたという実績がある。

また目下議論が湧き上がっているのが、学校法人の営利化問題。冒頭の大臣の発言の「悪い見本」というのは、このことを指す。スウェーデンではこれまで、株式会社が学校を運営し、利益を出して株主に配当金を渡すということが認められてきてきたが、この11月に学校株式会社の利益の追求を禁止する方針を社会民主党が党大会で採択*1。アクセルソン・シールブロム大臣は、その方針を現実世界に反映していく任務がある。

これまでスウェーデンでインターナショナル・イングリッシュスクールを経営し、10億クローナ(約130億円)を超える利益をあげてきたバーバラとハンス・ベリストローム夫妻は、学校株式会社の利益の禁止を「国家による私有財産の没収」として反発している。国が学校法人に対して株主への利益分配を禁止するのであれば、数十億クローナの補償金を払うことになるだろう、というのがベリストローム夫妻の考え方だ。

(この学校に関してはこちらのまとめもどうぞ)

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アクセルソン・シーブロム大臣は、子どもたちには学校を自由に選べる選択肢があったほうがよいと考えており、いわゆるチャータースクール(公費で運営される公設民営型の学校)の規制は考えていない。今の問題は誰が学校を運営するのかを注意深くみていくことで問題を解決できると考えている。利益のためではなく、子どもたちのために学校を運営する事業自体を選んでいくというやり方で。

最近読んだ本『デジタル・ファシズム』でも日本にも忍び寄る、学校をドル箱とみる魔の手について書かれていた。新年からはこのブログでも教育についてももっとどんどん取り上げていこうと思います!

他人は自分をバカで醜く、ひどいと思っていただろう、と新しい教育大臣は語る(ダーゲンス・ニュヘテル)

*1:12月30日にブログをアップした際には「方針を社会民主党が党大会で採択」と書くべきところを「決議を国会で採択」と書いてしまっていました。お詫びして訂正します

© Hiromi Blomberg 2021