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国家予算でつくる未来

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スウェーデンは国家予算の配分という手段を使って、今のコロナ禍が収束すると考えられている来年2021年にどんな国を作っていきたいのか? 昨日、財務大臣から発表された来年度の国家予算案から見えてくるのは、生活の安心と若者の就業促進だ。

コロナ禍の一時的な措置として引き上げられた失業手当は、これから先の2年間もそのままの高水準をとの提案で、年金の受け取り額も引き上げられて、さらには給与と年金所得も対象とした税金は引き下げられる(対象者は700万人におよぶ)。ひとり親家庭などへの手当も増える。

予算案のなかでも目立つのは、若者を雇用した場合の企業負担の社会保障費をぐっと削減したところだろうか? スウェーデンは企業の法人税はそれほど高くないが、人を雇用する場合に企業が負担する社会保障費が高い。現在は払おうとする給与の31.42%だが、それを19歳から23歳の人を雇用する場合は19.76%へと下げて、コロナ禍で特に失業率が高くなった若者の就業率を高めることを狙う。この社会保障費の措置は2021年4月から2年間の予定で実施される。

長年、同様の若者向け就業対策を提案しており、得意の政策を現政府に盗られてしまった野党の穏健党からは「政府は危機に乗じて、なりふり構わず打出の小槌を振りすぎ」との声もでており、通年の予算からざっくり1兆円程度も増えてしまっている予算の危険性も指摘する。

予算案では他にも、暴力団による犯罪や銃撃事件が絶えないこの国において警官を1万人増やすための予算や、高齢者介護に関わる人の仕事を安定させるための予算など、この半年間のコロナ禍においても議論され続けてきた社会的問題を捉えたものが続く。

こういった時の報道をみていて日本とスウェーデンでつくづく違うなぁと思うのは、スウェーデンでは報道は政府からの発表を伝えるだけでなく、それとセットで対立する野党も与党と同等の立場で呼んで、すぐに両方の意見をディベートさせたりと対立軸をはっきりを見せてくれるところだと思う。

日本では最近はその役割がネット報道へと移ってきているようなところもあるのかもしれないが、テレビ、さらには公共放送の持つ影響力はまだまだ大きいし広範囲に渡る。

今の日本の報道のあり方が変われば、日本の政治も変わると信じています。

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© Hiromi Blomberg 2023