ロシアの数少ない独立系新聞社「ノバヤ・ガゼタ」の編集長ドミトリー・ムラトフさんがノーベル平和賞を受賞したのは、ついこの間の昨年12月。彼の新聞社のジャーナリストのうち6名もが殺害されたことからも明らかだが、これまでもロシアでは自由な報道は難しかったがその状況が、ここ数日で激しく悪化している。
報道機関では侵略や攻撃、戦争という言葉を使うことが禁じられ、国営放送が流す内容以外の内容を報じたジャーナリストは逮捕され、高額の罰金や、最高で15年という厳しい禁固刑に課せられるという「フェイクニュース禁止法」が発令された。
長年(少なくとも私がこのブログを書き始めてからはずっと)、ロシアからのニュースを伝えていたSVTのロシア特派員ベート・スンドストロームも、この状況では報道できず、危険は高いということで、ロシアから一時スウェーデンに帰国することをSVTの報道局長が伝えている。
ロシアの独立系のテレビ局Dozdh(TVRain)が、検閲当局にブロックされて木曜日の番組中に出演者がスタジオを去るという重い光景を見た人もいるかもしれない。SVTと同様BBC、CNNやブルームバーグもロシアでの報道活動を一時的に停止している。
さらにはロシア当局はインターネットのアクセス制限し続けており、BBC、Deusche WelleやRadio Free Europe、そしてFacebookなどのサイトへのアクセスがロシアではブロックされていることが確認されている。
一方スウェーデンでは、普段は有料の大手新聞紙ダーゲンスニュヘテルが、同紙のネットサイトを当面無料で開放することを発表している。ダーゲンスニュヘテル紙はコロナ危機がやってきた時にも、同様の無料開放を何度か実施しており、結果的に多くの有料読者を獲得した。
swelogも、いつもは誰でもアクセルできる公共放送のSVTからニュースを引用することが多いが、これからしばらくはダーゲンスニュヘテルへのリンクも増やしていこう。
こちらもロシア内からの現地レポートはないだろうが、NATO加盟に関してや、難民受け入れの方針に関する各政党や世論の動向についての読み応えのある記事を次々にアップしている。明日配信するニュースレターで一度まとめてみようかと思います。
検閲の暗幕・ベート・スンドストロームはモスクワから帰国(SVT)