「凄まじい映像ですのでご注意ください」と説明があった後で、ブチャに入ったSVTの記者が夜7時30分からのニュース番組で伝える映像は、凄まじいやショッキングという言葉では表せないような凄惨なものだった。
ついこの間までストックホルムのニューススタジオから解説していたベングト・ノーボリ記者が、カメラマンのエミール・ラーションと、今週はウクライナから状況を伝える。
林の中に掘られた溝に投げ込まれた村長夫妻の砂まみれの死体、井戸に投げ込まれた死体、拷問を受けた後殺されたらしい、体を縛られた状態で地下室で発見された5名の男たちの死体。ただの脱げたバスケットシューズのように見えたものには、ちぎれた足が中に入っていると説明される。そして、自分の目の前で夫がこめかみに銃弾を撃ち込まれたことを語る女性。
そして、その映像のすぐ後に「映像はすべてロシア軍が撤退した後にウクライナが作った偽の攻撃だ」と記者会見で話すロシア外務大臣の映像も。
たまたま夫が外出していて家で一人だった私は、ニュースをみた後、どうしたものかよくわからなかったが、取り敢えずやらなくてはいけない確定申告の資料を整理して、お風呂に入ってから、少し本を読んで寝た。すぐに寝付けたが、夜中に何度も目が覚めた。ニュースのせいなのか、午後に飲んだコーヒーのせいなのかよくわからない。悪夢にうなされたわけではない。
そして一夜明けた今、恐いという感情にとらわれてはいないけど、あそこでああいうふうにして人が死んでいた、とそのことだけが、頭に繰り返し戻ってくる。