水曜日に記事になっていたNATO加盟に関する世論調査に関して書こうと思っているうちに、昨日フィンランドがNATOへの加盟申請を行う方針を発表した。この隣国の動きでスウェーデンも一層NATO加盟へ近づいたようだが、書こうと思っていたのは、調査ではNATO加盟に批判的な態度が一番目立ったのは若い男性の間であったとの結果だ。
5月4日から5月10日にかけて1002名から回答を集めたNovusの調査では、全回答者では53%が加盟に賛成、23%が反対という結果だったが、これが18歳から29歳の若い男性の間では賛成も反対も43%という結果で、反対する人の割合はこの層で一番高かった。
また全体的に見て、年齢層が上がるにつれ賛成する人の割合が上がり、世代別でみると若い男女が一番加盟に消極的だった。Novusは同様の調査を定期的に続けてきたが、この間若者層でNATO加盟に賛成する人の割合は常に同レベルだったが、反対する人の割合は増加している。
この調査ではフィンランドがNATOに加盟した場合、スウェーデンも加盟するべきだと思うかについても聞いており、これは全回答者で「はい」が64%、「いいえ」が21%そして15%が「わからない」となっていた。
昨日のフィンランドの発表以降のニュースを見ている限りでは、この先、これまでは賛成の意向を表明してこなかった与党の社会民主党が15日の党大会で賛成の党内決議を出し、週明けには国会でも賛成の方向で話がまとまっていくことも既に決まっているような空気が漂う。
なんだか有無を言わさず勇ましい感じになってきているけれど、反対の声を高める人たちもいる。一貫して加盟に反対してきた左党は、加盟の判断は国民投票で行うべきだと訴え続けているし、世界の平和、軍縮と民主化のために活動するNGO組織の「スウェーデンの平和 (Svenska Freds)」は、スウェーデンのNATO加盟はこれまで団体が訴え続けてきたことへの、ある意味敗北を意味するが、それでもまだ諦めていないと話す。
ウクライナでの戦争とNATO加盟の議論の高まりを受けてこの団体への会員は増え続けているし、多くの人が200年の長きに渡り軍事同盟に参加せず中立的な立場で、調停、外交を行ってきた世界の中でも特異なスウェーデンの立場の大切さに、より気がつくことになったとも言う。
コロナ禍でも「なんでこんなことになっちゃったんだっけ?」と折につけ思ったものだけど、スウェーデンがこんなに早くNATOに加盟しそうになるなんて、これもまた「なんでこんなことになっちゃんだっけ?」だな、本当に。