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意見の不一致で一致したトルコとスウェーデン

ルンド中が「学生による学生のための世界最大の祭典」ルンド・カーニバルで、お祭り騒ぎになっていたこの週末、トルコのエルドアン大統領とスウェーデンのアンデション首相は電話会議を行い、互いの意見が異なっていることで合意した。

スウェーデンのNATO加盟申請は、現在の加盟国30カ国のうち一国でも反対するだけでストップする。

エルドアン大統領に近いアドバイザーがSVTに語ったところによると、トルコはスウェーデンにシリアの武装クルド人組織YPGをテロ組織認定すること、またTPGやPKK、HDPといった組織とつながりのある16人を引き渡すこと、さらには現在スウェーデンがトルコに対して行っている武器の禁輸を解除することなどを要求しているという。この武器の輸出禁止はトルコがシリアでYPGを攻撃したことでスウェーデンが3年の期間で導入したもの。スウェーデンはシリア北部でのISのとの闘いで、YPGと同じ反IS連合に属していたことがある。

トルコが要求しているのは、ISと戦っているシリアの武装クルド人組織YPGをテロリスト認定することで、トルコによるとYPGはトルコと武力闘争関係にあるクルド人政党PKKの隠れ蓑であり、EU全体でテロリストとして認定されていると説明する。

地域の問題に詳しい解説者によると、根本的な問題はクルド人に自決権がないことで、これまでトルコやシリア、イラン、イラクといった国、また時にはロシアやアメリカなども、様々な場面で国外のクルド人組織を支援する一方で、国内のクルド人による運動を押さえつけてきたところにあるという。

トルコはスウェーデンが態度を変えることを要求しており、2,3ヶ月のうちに状況は変わるだろうととも話している。

またスウェーデンはPKKがテロ組織であることには同意しているが、言論の自由に関する法律により、国内でPKKを支持する意見が表明されることを阻止する法的手段はスウェーデンにはない。トルコはここにも大きな問題があり、スウェーデンはPKKに友好的な態度をとっていると判断している。

世界は本当に紛争だらけなのか。深いため息をつくしかないが、世界平和なんて、なにをどうやっても絶対に叶えられない望みでしかないのだろうとつくづく思う。

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© Hiromi Blomberg 2023