先日、ノルウェーの公衆衛生に関する行政機関、公衆衛生研究所が発表したのは、2歳までの子どもはスマホやタブレット端末などスクリーンの使用をすべて避けるべきだという推奨。これは2019年WHO(世界保健機関)が発表したスクリーンタイムに関する新たなガイドラインに沿っている。
「5歳未満の小児に関する運動・座位活動・睡眠に関するガイドライン」より抜粋
2歳未満 :Screen timeは推奨されない
2歳〜4歳:Screen timeは1日1時間未満
これに関連して、スウェーデンの公衆衛生庁からは同様の2歳以下の子どものスクリーンタイム制限に関する推奨や勧告が出されていないことから、10人の研究者が連名で、スウェーデンでも同様の制限を推奨するべきだとの寄稿がダーゲンス・ニュヘテルに掲載された。
2歳になるまでは脳の基本的な機能が発達するデリケートな時期で、このような小さな子どもたちは画面よりも他の人間からの方がよりよく学ぶことができると指摘するこの寄稿記事は、デジタルメディアを多用することで言語能力の発達が阻害されるという研究結果もあることを指摘する。
さらに寄稿記事はスウェーデンは就学前教育の子どもたちのカリキュラムに「デジタルツールでの作業」の言及がある世界で唯一の国であることも指摘しており、この決定が医学的な分析や影響評価なしで行われたものであることにも警鐘を鳴らしている。
この批判を受けたスウェーデン公衆衛生庁は、スウェーデンではスクリーンタイムだけではなく「座りっぱなしの時間を制限すること」に重きをおいた推奨を2021年に発表しており、当面の間スクリーンタイム制限に特化した新たな推奨を行う予定はないと話している。
スウェーデン公衆衛生庁によるとタブレット端末を見つめていようが、椅子やベビーカーの中でじっとしているだけであろうが、よくないのは体を動かさないことで、身体活動に関するアドバイスをできるだけシンプルにするために、特にスクリーンタイムに特化した推奨は行わないことにしたという。
また、このようなスクリーンタイム制限に関する推奨を行うことで、親が抱く必要のない罪悪感を持ってしまうリスクを指摘している心理学者もいる。
ダーゲンス・ニュヘテルへの寄稿記事を書いた研究者の一人でカロリンスカ研究所の認知神経医学者と、火曜日夜のニュース番組でディベートしていた心理学者は「日常生活の中で、ちょっと子供と一緒にミュージックビデオで踊ってみたり、子どもの食事を作っているごく短時間のあいだだけ、バブルが動く映像を見せたりするだけなら、それは生活の中の潤滑油となる」といい、公衆衛生庁から推奨がでることで、それに反する行動をとった時に親が感じるだろう罪悪感のもたらす悪影響に言及していた。
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今週から学校が夏休みに入っているため、オフィスに子どもを連れてきている同僚たちも多く見かけたけれど、私が見かけた子どもたちは、親の働く部屋で静かにタブレット端末で動画をみているよりも、廊下を走り回っているような子もたくさんいましたよ!
もう慣れているのでなんとも思わないけど、この光景、日本でしか働いたことのない人が見たらちょっと衝撃的ですよね。