スウェーデンフィンテック企業クラーナ(Klarna)の評価額がこの1年で360億ドル(約4兆8700億円)も下がった。5兆近くのお金はどこへいった。
クラーナはこれまでに最大で460億ドル(約6兆2200億円)の評価額獲得を狙っているとブルームバーグが報道したことがあり、昨年日本のソフトバンクが株式を一部取得した時の評価額は、3900億クローナ(約5兆2300億円)だった。
クラーナの評価額はパンデミック時に高騰したが、金利上昇が現実的になってきた今、その評価額が急下落しているしていることをウォール・ストリート・ジャーナルが伝えている。
お金がない人もモノが買える(!)後払いや分割決済サービスを提供するクラーナは、パンデミックで活況するEコマースを追い風に、その売上を2019年の約70億クローナ(約890億円)から2020年では100億クローナ(約1300億円)へと伸ばした。
SVTによると、クラーナは現在の17ヶ国7000人の社員の10%にあたる700人の人員削減を行うことを、CEOからの録音されたメッセージで月曜日に社員に伝えた。
最新の評価額が報道された背景には、スウェーデンの金融監督庁がEUと同レベルの資本準備額をクラーナに要請したこともある。同庁はさらなる金利の上昇にクラーナが備える必要があると要求している。
この15ヶ月間でクラーナが出した損失は100億クローナ(約1350億円)だが、今、世界中の投資家たちが保守回帰しているなか、追加資金獲得のためにはさらなる人員削減やリスクの高い国から撤退する(一番いいのはアメリカだが)ことも必要だとみる金融アナリストもいる。(さらに詳しい分析はこちらをどうぞ ついに現実がシーミアトコウスキーに追いついた(DiGITAL))
5月にクラーナが人員削減を発表した時に、経済コラムニストのアンドレアス・セルベンカは以下のように書いている。
クラーナが2日に発表した2022年第1四半期のレポートによると、売上高は2021年同期比20%増の36億クローナ(約483億円)。一方コストはその3倍の勢いで膨れ上がった49億クローナ(約658億円)だった。それに利払いによる損失を計上してクラーナは3ヶ月で合計26億クローナ(約350億円)の損失を記録しており、これは毎週2億ドル(約27億円)の損失を出し続けた計算になる。このままの状態が続けば、クラーナの手持ち資金は、本格的な秋の到来を待たずになくなってしまう。(下記アフトンブラーデット記事より)
セルベンカはさらには、スウェーデンの他のスタートアップ企業KryやTrustly、Storytelなども、目下のインフレと金利上昇で同じような状況にあると指摘する。
しかし、ソフトバンクの孫さんは、もうそろそろこんな形の投資からは足を洗って、例えば故中村哲医師の偉業を引き継いで、アフガニスタンに井戸を掘ったり用水路を作る事業とかに全力を注いだりとか、残りの人生をそういう目標に捧げる生き方とかされてみるのはどうですか?(孫正義の借金はもう限界 米国の利上げで今後もっと苦しくなる | 文春オンライン)