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投票して泣く

日曜日の朝8時に投票所に向かい、10分ほど列に並んで無事に投票を済ませた後、すぐそこの家まで歩いて戻る途中、ふいに涙がでてきて自分でも驚いた。

コロナやら、近くの国での戦争やら、極右政党の躍進とやらがあっても、こうして投票券を手に投票所に向かえば、この日だけはちょっとした正装でネクタイを締めたお隣さんに出会い、受付の人が丁重に私の名前を読み上げて本人確認をしてくれ、私の投票用紙が投票箱にきちんと収められるのを、私と立ち会いの人がじっと見つめる。

そんなこれまでなら特になんとも思っていなかったことが、平和の中の特別なことのように思ったのであろう、泣いてしまった自分のことを、ちょっと感傷的すぎて恥ずかしいではないかとなんだが照れくさい気持ちで家に着いた。

昨日のダーゲンス・ニュヘテルには、人気作家で人気コラムニストのアレックス・シュルマンが「投票所から出た時、涙で何も見えなくなった」と題したコラムを発表していて、なんだ、泣いたりしたのは私だけじゃなかったのか、と顔の筋肉を緩めながらそのコラムを読んだ。

シュルマンは、今回の選挙に子どもを連れて行ったこと、自分が子ども時には父親に投票所に連れて行かれたこと、そして投票所からでてくる父親はいつも泣いていて、そんな父親をいつもとは違う異質の存在としてみていたこと、そして、今回自分が投票を終えて、投票所から出てきた時、涙で何も見えなくなったことを綴っていた。

もともとは時に炎上もする人気ブロガーで、今はTVプロデューサーやポッドキャスターとしても活躍するシュルマンは、著名文化人一家の生まれで、彼の父親も名高いジャーナリストだった。 その父親にして、というか、そのジャーナリストという職業の父親だったからこそ、いつも選挙では泣いていたのだろうか?

シュルマンは、今回カンヌ映画祭で再びパルムドールを受賞したリューベン・オストルンドの「トライアングル・オブ・サッドネス」にもちょい役をもらって出演しているそうなのだが、彼の著作はまだ日本語には訳されていないようですね。

コラム・アレックス・シュルマン ”投票所から出た時、涙で何も見えなくなった” (ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2022