昨日は突然廃止された電気自動車購入の際の補助金の話だったが、今日はスウェーデンの国立美術・博物館の入場無料措置が廃止される決定について。右派連合による新政府は、来年1月から国立のミュージアムへの大人入場料を徴収することを決めた。
スウェーデンでは2004年に3つの国立ミュージアムの入場料無料化が始まり、翌年からはすべての国立ミュージアムに適応された。2007年に右派連合が政権を取った際に、19歳以下の子どもを除き無料化は廃止されたが、2016年に左派政権のもとで、再び常設展示部分が無料となる改革が実施されていた。今回の決定は2023年までの時間制限付きで実施されていたこの無料措置を延長しないことを決めたもので、国立ミュージアム側でもある程度予想していたもの。
しかし、今、まだパンデミックの後客足が戻りきっていない状態であることや、今週の火曜日に決定が発表されて、来年の1月1日には入場料を徴収するためのゲートなどが必要など、準備を短期間で行う必要があること、また政策決定に長期的な視点がないことなどを批判する声がミュージアム関係者内外から上がっている。
ミュージアムの無料化は、すべての国民に文化遺産へのアクセスを提供することを目指したものだが、パリサ・リリエストランド文化大臣はストックホルムの国立美術館や北方文化博物館などの無料化は、主に文化に興味のある大人のリピーターと観光客を優遇しただけで、それ以外の層には届かなかったと今回の決定について説明している。
来年からの各ミュージアムの入場料がいくらになるかはまだ決定されていないが、150〜170クローナ(約2000円〜2300円)あたりで落ち着く見通しのよう。国立博物館では、入場料収入での実施を考えると赤字になりそうな展示を、すでに一つ実施しない決定もおこなった。
2018年にリニューアルオープンした、あの素晴らしい国立美術館の常設展示に無料で入場できるのは、ものすごく豊かな気持ちにさせてくれたものだけど、とても残念だな、このニュース。これから年末まで忙しい日が続くことと思うけど、行っておきたいミュージアムがあれば、今のうちにぜひどうぞ。