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強制から強制へ。ベール着用をめぐる議論

先週、スウェーデンの行政最高裁判所が出したのは、スタファンストルプとスクループの2つのコミューンが導入しようとしていた、学校でのベール(頭にかぶるスカーフ)着用禁止令に法的根拠がなく、禁止令はこの国においては違法であるという判決だ。判決文には「頭巾やそれに類する衣服の着用といった宗教的所属の表現は、表現の自由の権利で守られている」と書かれている。

禁止令の導入を進めていた政治家たちは、この判決を分析して、それでも禁止令を導入することのできる根拠がないか、さらにこの先も調査を続けると表明している。ベールの着用を禁止したい人たちは、学校は宗教の影響を受けるべきではなく、また男女平等であるべきで、ベールは女性への圧力の象徴だと言う。

この判決を受けて、政治家、ジャーナリスト、人権活動家、大学研究者など、着用禁止令に賛成する人、反対する人の双方からの参加者で、ディベート番組が放送されていた。ディベートには禁止令に反対するベール着用者自身の若い女性も参加していて、彼女は「政治家など他の人たちが、なぜ私たちのことを勝手に決める権利があると思うのか。私たちと対話せず、何を望んでいるかを聞かずに勝手に決めてしまう権利があると思うなど、あなたたちには政治家としての資格はない」と怒りを隠さない。

スウェーデン民主党の議員は、自身の妻や家族が、イスラム的なものに抑圧されてきたと語り、特にヒジャブは女性に対する抑圧のイデオロギー的、イスラム的な象徴であり学校で禁止されることが重要だという。スウェーデン民主党は、すべての公職につく人たちや学生の間でベール着用の全面的禁止を提案している。

イランでの騒乱も未だ収まらないが、なぜ他の人たちが女性たちに勝手に「被れ」といったり「被るな」といったり、彼女たち一人ひとりの思いを無視して、勝手に決めてもいいと思ってしまうのか。抑圧の象徴とは戦うべきかもしれないが、それはさらなる強制を政治的に推し進めることではない、と私も強く思う。

自身の自由意志で行動できることが一番大切だと思う人は、私に限らず多いはずである。ベール禁止令に強い賛意を表す自由党の議員は、リベラルの意味を履き違えている。

19歳のカンザは禁止令提案に激怒「政治家たちを恥ずかしく思う」(SVT)

判決にも関わらず、彼女はまだ学校でのベール着用禁止を望む(SVT)

ディベート番組「ベール着用は学校で禁止されるべきか?」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2022