EUの決定で、スウェーデンでも大きな変化がでそうな話をもうひとつ。
欧州委員会は2022年3月、水銀を含む蛍光灯の段階的な使用禁止を決定した。これは環境とエネルギー政策の面でポジティブな決定だが、スウェーデンでは不動産所有者の多くがまだこの決定についてよくわかっていない状態で、数年後には薄暗いビルなどが増えることも心配されている。
様々な製品での水銀の使用禁止は、2006年以降段階的に行われてたが、蛍光灯は、よりエネルギー効率のよい代替品が登場することを期待して、例外的に使われ続けてきた。
〈水銀廃棄物〉蛍光灯の中に水銀が使用されているのはなぜですか。 - ライティング共通 - Panasonic
そして今、水銀を必要としないLED製品が十分に世の中に出回ってきたことから、2023年2月24日からコンパクト蛍光灯が、そして8月24日からは伝統的な長い直管蛍光灯(T8)の販売も禁止される。そしてこの変更は水銀を排除するという効果だけでなく、大きな省エネも意味し、今スウェーデンで使われているものすべてを交換した場合、およそ20万世帯が1年間に消費する電力量に相当する省エネ効果(約2〜3TWh/年間)がでるとの試算がある。
しかし、照明業界団体の技術委員は、この変更には大きなチャレンジが伴うという。今スウェーデンにある2000万個の蛍光灯を使った照明器具には、新しいLEDチューブと互換性のないものも多いからだ。
一番問題なのは、T5管という細い管を使った最新型の蛍光灯照明器具なのだそうだが、大きなビルをいくつも所有する不動産業者の中には、まだこの変更のための予算の計上や時期を計画していないところも多く、さらには工事することのできる電気技師の不足も頭の痛い問題となりそうなのだとか。
同技術委員によれば、これから5年以内に過去20年間に販売されたほぼすべての製品で買い替え、付け替えが必要になるだろうということで、それまでに蛍光灯の寿命が来てしまえば、替えの新品在庫がなく、薄暗いオフィスなどもでてくるのかしれない。
なんとも荒っぽいグイグイ変更だけど、同様の理由で、ある日を境として突然スーパーで特定の商品の棚が突然が空っぽになるような事態にはスウェーデンに住んでいるとちょくちょく出くわすので、まぁ、これもそんな変革(?)のひとつということか。