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医療従事者の市民的不服従「私たちは通報しない」

国が作った枠組みにどうしても賛成できない時には「不服従」というやり方がある。

つい最近では、風力発電パークがサーミの人たちの権利を侵害しているというノルウェーの最高裁での判決にも関わらず何もしない政府に怒った若者たちによる、官庁の封鎖行為が注目を集めた。

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私が今回初めて知った運動は、スウェーデンの医療従事者による「私たちは通報しない(Vi anger inte)」というもの。

昨年からの新右派政権を支える枠組み協定(Tidö協定)では、行政の職員が、無許可でスウェーデンに滞在している人と接触した場合、警察や移民局への通報の義務化を検討することが盛り込まれた。この際にも医療の現場を例外とするかどうかは、さらなる調査により決めるとされたが「私たちは通報しない」という運動は、この可能性を排除するために行われている。

通報されることを恐れて医療を求めず、その人たちが命を落とすようなことがあってはいけないというのがこの運動の主旨だ。この通報義務付けの法規化には、昨年12月にも4008名の医療従者、学生の署名入りの「Tidö協定の一部の決定は、人種差別的で反民主主義的だ」との意見記事が掲載された、と記事にあった。

 運動の主催者の1人は「政治家からこれ以上理不尽な要求をされる筋合いはない。法律が変われば、私たちはそれを破るだろう。私たちは患者を通報したりしない」と話す。

「不服従」は勇気のいる行動で、私は、必要な時に自分の信じることに応じた行動が取れるだろうか? とこれまでも何度も自分に問いかけてきたのだけれど、そんな行動を取らないといけない時は、もしかしたら案外早くやってくるのかもしれない。そして私の場合は、そんな決断は若い時よりもしかしたら、この先、もっと簡単になってくるのかもしれない。

そう言えばこんな医師もいたことを思い出した。

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Tidö協定での報告義務付けに、医療関係者が全国での反対運動を展開(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023