昨日の朝、私がAIについて書いている間に、そしてSVTのレポーターがアカデミー賞の受賞を逃したルーベン・オストルンドから一言もらおうと探して回っている間に、スウェーデン人の年金積立の120億クローナ(約1500億円)が消えたことがニュースになっていた。スウェーデンの企業年金運営会社Alectaは、経営破綻しアメリカ当局により閉鎖されたSVBに90億クローナ、そしてシグネチャー銀行に30億クローナを投資していた。
AlectaのCEOは、投資は「失敗」だったが、年金の支払いにはほとんど影響を与えないともいう。また今回の一連の事件はすべてが48時間内に起こったことで、市場全体がこの大規模で急激な下落に気ががついておらず、猛烈なスピードで激しいスパイラルが起こった。しかしこの損失は、Alectaのポートフォリオ全体からみると小さなもので、今後の運営のなかで調節できるものであると説明する。今年に入ってからのAlectaの運用実績は今回の損失を含めても1.5%のプラスのリターンを達成している。しかし約1500億円という大金があっという間に消えたことには代わりはない。
Alectaはさらに、昨日取引停止となったファースト・リパブリック銀行にも90億クローナを投資しているが、このお金はまだ消えてしまったわけではないと説明する。
今回の破綻は、拡大から縮小へと方向転換しているテックスタートアップ企業などが、SVBなどから資本を引き上げ始めたことから起こった。昨夜のニュース番組で解説していた経済誌の編集長は、SVBは2008年のリーマン・ブラザーズのような金融システムの中核にあった銀行とは異なり、今回の影響は限定的なものとなるだろうと説明していた。バイデン大統領が問題は解決すると言ったことで落ち着きが生まれ、慌てた人々が銀行からお金を引き出し始めるようなパニックにはならないだろうとも言う。
ずっと一般企業でも働いてきた私の年金はもちろんAlectaでも運営されている。1500億円の損失がでても、大したことないと言えるCEOの気持ちはよくわからないけど、未来に確かなものなどない、ということを改めて肝に命じる。