スウェーデンの全国スポーツ連盟が子どもたちのスポーツ参加状況をまとめ、それをSVTが、地域別の住民の収入や教育レベルなどの社会経済状況データと掛け合わせて比較してみたところ、子どもたちのスポーツ参加状況は親の経済状況で大きな差があることがわかった。
この検証ではスウェーデンを、市町村よりももっと細かい3000の地区別に分け、高学歴、高収入で一軒家に住む人が多く、失業率の低い地区を1とし、反対に団地住まいでシングルマザーなど収入が低く、経済的に厳しい状況の人たちが多く住む地区を5などと区分して、それを元に子どもたちのスポーツ活動状況を分析した。
結果は、ひとつの例外もなく、恵まれた地域に住んでいる子どもたちは平均76%の参加率と、よくスポーツを楽しんでいるが、経済的に厳しい人たちが多く住む地区の子どもではスポーツを楽しんでいる子どもは4割にも満たないというものだった。
以前より顕在していたこの問題を解消するため、全国スポーツ連盟は、2015年から国から社会統合と犯罪防止促進目的で、年間1億クローナ(約13億円)の資金を得ているが、皮肉なことにこのお金は、結果を出せるおよそ25%の限られたスポーツクラブしか支援できておらず、そのほとんどは恵まれた地域のクラブであると、今では考えられている。
マルメ大学の研究者は、お金があっても社会経済的に厳しい地域にはそのお金を受け取ることのできるスポーツクラブが存在しない問題を指摘し、これ以上お金だけをスポーツ活動に投入しても、格差を解消することはできないと話す。
スウェーデンからは、もう次世代のスラタン・イブラヒモビッチは生まれないのだろうか?