swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

さらに悪化した世界の報道の自由

このブログでも何度か取り上げている「国境なき記者団」の世界の報道の自由インデックス。書くたびに状況は悪化しているように思うが、今年はジャーナリストが自由に情報を入手し、そして入手した情報を発表することを妨げられないという「グリーン(以前はホワイトと分類されていた)」カテゴリーの国は8ヶ国だった。同カテゴリーには例えば、2015年には21ヶ国が分類されていた。

2023年のIndex | RSF

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北ヨーロッパ諸国は毎年トップに顔を並べていて、今年も一位はノルウェー。その後にアイルランド、デンマーク、スウェーデンと続く。この先もフィンランド、オランダ、リトアニア、エストニアとご近所の国が並ぶ。日本は今年は68位と、以前から同じあたりをうろうろしている。

日本は、メディアの自由と多元主義の原則を掲げているが、伝統、経済的利益、政治的圧力、男女の不平等などにより、ジャーナリストが政府の責任を追及するという役割を十分に発揮できていない (国境なき記者団・報道の自由インデックス2023年の国別解説より)

スウェーデンが去年の3位から4位に順位を落とした理由としては、昨年大きな議論となったスパイ活動防止法や、警察がジャーナリストの行動に介入しようとしたことが5度ほど確認されたことが挙げられている。警察はジャーナリストを拘束し機材を没収したし、またジャーナリストがネオナチの集会の取材中、脅迫など危険な目に会っている時に、近くで傍観していたという件も報告されている。

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今年のレポートは、調査の対象の3分の2の国で、プロパガンダ、フェイクニュースやAIなどを技術を使って、権力者が情報操作を行っていることもまとめている。

世界のジャーナリストの、文字通り命がけの仕事はもちろんのこと、この報道の自由インデックスの作成と発表自体も、大きな脅威にさらされていると思われる。私にできることは、このインデックスの存在を広めること、そして価値ある記事を読んだり広めたり、購読料を払ったりすることだと理解している。このブログ記事を読まれた皆さまもぜひ。

世界の報道の自由をめぐる深刻な状況(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023