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防衛費増額のために、なくなる祝日

今日は、え、お隣でこんなことが起こっていたんだ、というデンマークの話。デンマークは、NATO加盟国の目標である、GDP2%の防衛費を2030年までに達成するために、337年間の伝統であった祝日を廃止するというのがそのニュース。

廃止が決まり、昨日が最後となったのは、毎年復活祭後の第4金曜日に祝われていた大祈祷日という祝日。元々は人々に教会での懺悔を促すために作られた祝日だそうだで、現在ではその意味はほとんどなくなってしまったが、多くの子どもたちの入信式がこの日に行われている。

昨年12月半ば、メッテ・フレデリクセン首相が、防衛費強化のための税金を集めるために、国民が働く日を一日増やしたいとの提案し、その後、教会や組合との話し合いもなしに、この祝日の廃止を決めてしまった。

政府はこの祝日をなくすことで毎年35億クローナ(約700億円)の税収を見込んでいるが、50万人以上のデンマーク人がこの決定に反対の署名をするなど、この政策は、与党以外の右派からも(デンマークの伝統を廃止した)左派からも(労働者の労働条件を悪化させた)強く批判されている。この祝日廃止により、現政権は支持を失い、次の選挙での勝利はないだろうとの声も。

記事には、デンマークにはこの大祈祷日に「Hvedeknopper(小麦のつぼみ)」と呼ばれる素朴なカルダモン風味のパンを温めて食べる習慣があることも書かれており、これはこの日はパン屋も仕事をしなかったことから、前日にこのパンを買い、当日温めて食べる習慣ができたのだとか。このパンについてこんな素敵な記事を書いてらっしゃるデンマーク在住の方がいた。

Hveder — Sachiko Kuramoto

たった一日だけど、この国の伝統でもある話し合いによる合意をすっ飛ばして祝日を減らしてしまったことは、後々まで現政権への支持に影響を与えそうである。さて、このパン、期間限定と聞けばますます食べてみたくなるんだけど。

デンマークが最後となった祝日を祝うー今後は防衛費に当てられる(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023