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国籍問題

国旗問題に続き、今日は国籍問題を。

一昨日のナショナルデーに行ったスピーチで、クリステスソン首相は「スウェーデン国籍は侵害されている」といい、今は犯罪者でも簡単にスウェーデン人になれる」と話した。

過去12年間で新しく70万人がスウェーデン国籍を取得し、そのうちの多くが自分で生計をたて国家に貢献している一方で、言葉も学ばす、法も理解せず、スウェーデンの基本的な価値観を理解しない人がいる首相は言う。スウェーデンの価値観とは「家族は重要だが、それは法律上のものだけではないこと、ジェンダー平等であること、好きな人と結婚できること、女の子でも男の子でも水泳やサッカーをできること」などで、それを尊重したり理解したりできないのであれば、スウェーデンには来るべきではない、と続けた。

これまで移民に簡単にスウェーデンの市民権・国籍を与えてきたスウェーデンは世界の中で悪い意味でユニークな国で、今後はこの市民権の価値を上げ(取得を難しくし)、スウェーデン語が話せるかどうか、共通の価値観を持っているかどうかが重要だと述べた。

クリステルソンが首相になり、国籍取得の厳格化方針を打ち立てた昨年の秋以降、移民庁には国籍取得の申請者が急増している。理由のひとつは政府の方針変更が行われる前にという駆け込み申請によるものだが、もう一つは2014年から2016年にかけてのいわゆるヨーロッパ難民危機で、シリアなどからの難民が急増した時にスウェーデンにやってきた人たちが、ちょうど国籍取得の申請条件を満たす時期となっているからなのだそう。

行政手続法では、国政取得を申請したものは6ヶ月以内に回答をもらう権利があり、過去3年間で25万件の申請を処理した移民庁は、この先の3年も25万件の新規申請があると見込んでおりその対応に追われている。

クリステルソン首相の率いる政府は、この夏にも国籍申請資格の厳格化の内容を提示する予定で(おそらく語学テストなどが入るのだろう)、その内容によりおそらく手間は増えるが、申請者数は減るだろうと移民庁はみている。

ナショナルデーのお祝いなのに、お祝いというよりは、とても排他的な言葉ばかりが続いたクリステルソンのスピーチを聞いてみたい人は、こちらから、どうぞ。今後導入されるであろう国籍取得のための語学テストには、このスピーチが聴解力問題としてでるのかもね。

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クリステルソン「スウェーデンの市民権は侵害されている」(SVT)

クリステルソン「スウェーデンは悪い意味で特出している国だ」(アフトンブラーデット)

国籍取得希望者が増え、移民庁で処理されるべき案件が山積みに(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023