冒頭、約6000年前にスウェーデン南部に農耕とともにやってきたとして登場した人たちが「片岡鶴太郎とシャルロット・ゲンズブールに似てる」と思ったら(個人の感想です☺︎)、その後登場した約1万4500年前にそれまでは氷で覆われていたスウェーデン南部に初めて足を踏み入れた人たちは、肌は濃い褐色で目が青い、いわゆる黒人として現れ、へえーっと驚く。
人類の起源はアフリカだし、そう考えれば当たり前なのだろうけど、スウェーデン=金髪碧眼のイメージに、自分も凝り固まってることに気付かされる。この最初のスウェーデン人(?)がこのような外観だったというのは、ここ5年から10年ではっきりしてきた見解なのだそうだけど、極右政党のスウェーデン民主党の政治家たちはこの番組の第一話をどう捉えたのだろう? 現在のスウェーデンがある場所に、初めて足を踏み入れたこの人たちは夏の暖かい間だけ動物を追ってやってきた狩猟民で、寒い時期は今のドイツあたりにいたとの説明が続く。
公共放送SVTが「これまでにない規模と予算で制作した!」と大々的に宣伝している歴史大作番組『スウェーデンについての歴史の話(Historien om Sverige)』が11月5日から始まった。氷河期から現代までの1万5000年を、1時間番組10本の10時間に凝縮したこのシリーズは、その製作に歴史や考古学、文化などの各分野の専門家、約300名が参加している。
見どころは、約1500名にも及ぶ登場人物がキャスティングされている点で、その全員がその時代時代にあった体格で、適切な衣服を身にまとい、適切な時代背景と場所に登場しているという点。私は昨夜SVT Playで第一話を見たが、1万4500年前から3700年前までをカバーしたこの回のロケ地は多岐にわたり、わかっている限りの時代考証を詰め込んで、住居のようすや衣類、宗教的な儀式など興味深い細部がぎっしり詰まっている。
スウェーデンらしいと思ったのは「SVTがどのように伝えようとも、その内容、方法について批判を受けるであろうことをが予想され、また番組内ですべてを伝えることは不可能である。そのため、異なる視点を提供し、視聴者からの質問に答えるためにアフタートーク番組も準備した」という点。
私もこのアフタートークも見てみたが「石器時代の狩り人たちが動物に気づかれないように言葉ではなく、手の動きでコミュニケーションをとっていたとのエピソードがあったが、なぜそのようなことがわかるのか?」との質問に考古学者が答えるなど、こっちはこっちで面白い。
そしてすばらしいなぁ、NHKもこれやってよね!と思うのは、この『スウェーデンについての歴史の話』もSVTのストリーミングサービスSVT Playで、世界中どこからでも、好きな時に無料で視聴可能なこと。シリーズには、10本の番組に収まらなかった「音楽、文学、美術」などのテーマ別ミニシリーズもあって、こちらも順次公開されるそうなので、楽しみにしていてよさそう。いやー、普段はテレビはニュースとヘラジカスローテレビくらいしかみない私だけど、この冬の楽しみが増えましたな、これは。
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