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自分を変えたグレタはまだ世界を変えていない swelog weekend

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無事学校を卒業したグレタさん

今月、日本の中学校に相当する義務教育を終えたグレタ・トゥーンベリさん。

学校ストライキやヨーロッパ各地への講演招聘、デモへの参加などで欠席が多かったにも関わらず、まずは自身も満足できる成績で学校を卒業しました。

この先、9月にはニューヨークで開催される国連の気候サミットへ、また11月にはチリのサンティアゴで開催されるCOP25(国連気候変動枠組み条約締結国際会議)への出席を決めたことなどから、8月からの高校での学業の開始を遅らせて一年のサバティカル(通常の業務を離れた長期休暇)を取る予定です。

2020年に区切りを迎えるパリ協定の努力目標(地球の平均気温上昇を1.5度以内に抑える)のために2019年、2020年の自分の時間を使いたいと話しています。

また、グレタさんは飛行機に乗らないライフスタイルを貫いていることから、この南・北アメリカ大陸への旅をどう実施するのかも注目を集めていますが、かなりの長旅となることは確実。高校で授業を受けはじめたとしても、結局長期休暇をとらなければならないでしょうから、サバティカル・イヤーは理にかなってます。

「世界はなにも変わってない」

グレタさんがスウェーデン国会前広場での学校ストライキを始めたのは去年の8月20日。総選挙を目前に控えたスウェーデンで、パリ協定のために具体的になにも変えてこなかったこの国の環境への取り組みへの、ダメ出しの意思表示でした。

それからまだたったの10ヶ月しかたっていませんが、世界中のメディアが彼女のことを取り上げ、イギリスやアイルランドなどの国が「気候非常事態宣言」を行うまでに至った大きなきっかけの一つに、グレタさんの行動とスピーチがあるのは間違いありません。

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世界の思想的なリーダーであるローマ法王や、ダライ・ラマ、オバマ前アメリカ大統領といった人々からも称賛の声を集め、今年のノーベル平和賞にも推薦されているグレタさん。でも、自分の起こした運動のうねりに結果がでておらず、変えたいことが何も変わっていないと話しています。

彼女が目前のターゲットとするのは、温室効果ガスを減らし気候温暖化の影響をパリ協定の範囲以内に抑えること。

それにはグレタさんの運動に触発された私達個々人が、電力消費量を少し抑えたり、太陽光パネルや家庭用風力発電機をつけてみたりする程度の変革ではだめで、国家や大企業が今のあり方を根本的に変えない限り大きな変革はおこらない。

だから、具体的に温室効果ガスの削減が目に見えるまで彼女の訴えは続くことになるでしょう。

私達も気候変動に関して学び、自分でできることは行い、かつ気候変動問題に関して大きな決断のできる立場の人々、変革できる権力を持つ国家リーダーや産業界のリーダーにプレッシャーを掛け続けることをやめてはいけないと、グレタさんは身をもって体現しています。

2年前の自分

グレタさんの学校の終業式に合わせて取材を行ったスウェーデンの新聞ダーゲンス・ニュヘテルの記事では、グレタさんは「2、3年前の日記を読み返すと”家を出て近くのスーパーまで買い物に行くことができた”と誇るように書いてあり、それが当時の自分にとってどんなに大きなことだったかがわかる」と話しています。

摂食障害を長く患い、アスペルガー症候群であることを公表し、またアスペルガー症候群の特性が自らの行動に強みを与えていると自己分析も行っているグレタさん。

私が彼女のことをスウェーデンのニュースで見聞きし始めたのは、去年の12月のポーランドでのCOP24でのスピーチでグレタさんに世界的な注目が集まる少し前。私の知る周囲の15歳の中学生よりは幼ない印象で、表情が固く決意のほどがヒリヒリと痛いほど伝わってきました。

学校ストライキを始める前は特別なサポートを受けることができる学校に通い、クラスでは本ばかり読んで、必要最低限以外は人と話すこともなかった彼女。

ストライキを始めたあと9月には通常の中学校に転校もし、SNSの自己紹介をスウェーデン語から英語に変更した去年の秋の学校休暇時期あたりが、自身のターニングポイントだったようです。さすが若い人、行動だけでなく外見も成長めざましく、最近は背も伸びたようだし顔の感じも少しかわってきましたよね。

行動を起こすことは誰にでもできる

有名になったことの負の側面はもちろんあるとしながらも、今、自身が世界に多大な影響力をもつ活動ができている状況は、少し前までは夢でしかなかったと話すグレタさん。

私達は、グレタさんの行動と勇気に感服しつつも「グレタだからできた」と思わないことが大切なのかもしれません。だれでもグレタさんのように行動することはできる。そしてあきらめない。8月20日の初日の行動がこんな大きなムーブメントとして続いていってなかったとしても、きっとグレタさんは今日まで淡々と1人でもストライキを行っていたことでしょう。

B-Reel FilmsのNathan Grossmanさんは、去年の8月の学校ストライキの開始時期からずっとグレタさんの行動をフィルムに収めていた人。彼の手によるドキュメンタリーが、来年スウェーデン公共放送のSVT他で放映される予定です。撮影を開始した当初はストライキがどのような影響を及ぼすか皆目検討はつかなかったけど、グレタさんのもつ熱量に圧倒されたそうです。

また、グレタさんの人となりに関して書かれたもので、日本のメディアでインタビューを実施してその内容もすばらしいのが、こちらの毎日新聞の八田浩輔さんの記事です。

mainichi.jp

毎日新聞の購読者以外の人はこの記事にアクセスできるのかどうか私はよくわかってませんが、購読申し込みしても損はない充実した内容です。

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E-tidningar - Folkbiblioteken i Lund

 

最後にボーナス映像を♪

ダーゲンス・ニュヘテルが終業式後、成績表を開封して内容を確認するグレタさんをビデオに収めています。

本編の記事はスウェーデン語ですが、短いビデオクリップに英語字幕をつけて公開していて、こちらはおそらく新聞の購読の有無に関係なくだれでもアクセスできると思うので、ぜひご覧ください。いつもの毅然としたグレタさんではなく、ビデオ冒頭のはにかんだような表情がほんとうにキュート♡

グレタ・トゥーンベリ「ストライキをやっていなかったら、成績はオールAだったと思う」

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