昨日は、スウェーデン北部のトナカイの放牧と鉱山開発企業との抗争についての貴重な話を聞く機会に恵まれた。話してくれたのは、自身もヨックモック近郊の出身のルンド大学の研究者。
トナカイの遊牧に関わるのはサーミ人の中でも10%程度の人でしかなく放牧に関わる権利闘争をサーミ全体の政治問題として扱いにくいこと、鉄鉱石産業のスウェーデン経済に与える影響は現代では1%にも満たないがスウェーデンの良質な鉄鉱石は今もヨーロッパでの使用量の95%以上を供給していること、鉄鉱石の採れる場所から他の貴重金属も採れることが多く、その意味でも該当地域の権利闘争は国外からの資本も多く巻き込んでますます複雑化していくことなど、多くのことを知ることができた。
スウェーデンの鉱山開発は以前はスウェーデン企業のみに認可されていたが、数十年前に自由化されている。
講演の中で、1年かけて移動していくトナカイの行動範囲や、各サーミのトナカイ所有グループ間できちんと分けられた区画(なんと、ほぼスウェーデンの北半分にあたる広範囲!)についても教えてもらったのだが、その中でもちろん気候温暖化に関する話もでた。
トナカイ達は地表が雪に覆われていても、上手に地表の雪をかき分けて餌をさがすらしいのだが、近年は暖かい日には雪が溶けそれが再び気温が下がったところで氷になる。地表が氷で覆われればトナカイは食べるものがなくなり、それが問題化しているそうだ。
一方今朝は、最北部では雪が深くなりすぎて足の長いヘラジカも思うように歩けない事態が起こっているということがニュースになっていた。
私は、自分でも気候変動のニュースに敏感に反応しすぎだなと思うことがあるけど、とりあえず今日のルンドは太陽が眩しいいい天気になりそうです。