「スウェーデン人は誰でも洋服を来たまま50メートル泳ぐことができる」。
こんな都市伝説、いったいいつ誰から聴いたかもう覚えていないが、スウェーデンでは泳げるかどうかはただのスポーツではなくて、生死を分ける問題として捉えられているという印象を強く受けた。
伝統的に、夏にはプールではなくて湖など野外で開催される素朴な(しかしとても重要な)水練学校があり、子どもたちはそこで服のまま水に落ちた時にはどうするかなども教わる。
しかし近年、その水練学校が減ってきていた。2011年には全国で400ほどあった夏の野外水練学校はその後数を減らし続け、一時は250まで減ってしまった。数が減った理由は水泳を教える先生が減ってしまったこと。
夏だけ子どもたちに大切なことを教えてくれる先生たちが引退してしまった数ほど、新しい先生が増えなかったことが原因らしい。開催される水練学校の人気は高く、ウプサラでは今年、申込受付後わずか1分で満員になってしまったクラスもでたほど。
水練学校で先生として教えるには6,500クローナかかる講習を受けなくてはならず、先生になりたくても費用の捻出ができない人もいるということで、最近はその講習費をサポートしてくれる企業のスポンサードが増えてきている。
スウェーデンの港、海岸に設置されている救命用の浮き輪を提供している生命保険会社のTrygg-Hansaは、数年前から水練学校講師講習費用も負担しており、去年は40人、今年も30人以上が新しく先生になる予定。
野外水練学校の数も再び増加の方向に向かっているということで、夏の湖で命のための泳ぎ方を教わる水練学校がもっと増えればいいなと願う。