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コロナワクチン、アストラゼネカ、スウェーデン

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土曜日に製薬大手のアストラゼネカが、開発中の新型コロナウイルス向けワクチンの供給契約をドイツ、フランス、イタリアやオランダと結んだというニュースが報道された。

あれ、アストラゼネカってまだ少しはスウェーデンの会社だと思ってたけど、はしご外されてない? あんなにワクチン確保するよ、っていってたのに?

アストラゼネカはイギリスのゼネカ社とスウェーデンのアストラ社が1999年に合併してできた会社で、今は本社はイギリスにある。以前はルンドにも1000人近くの社員が働く大きな拠点があったが2010年に閉鎖されているし、スウェーデン全体ではもっと多くの社員が解雇された。

(参考記事・大量解雇の時代は終わった - swelog 今日のスウェーデンのニュース

今回のワクチンはオックスフォード大学が進めているAZD1222と呼ばれる新型コロナ向けの候補として開発されているもので、目下イギリスで1万人以上を対象とした臨床試験が始まっている。

アストラゼネカからのプレスリリースによると社は年内には提供を開始する予定で、その効果のほどはまだまだわからないものの、先に上げた国々と4億人分のワクチン供給の契約を結んだと発表された。

スウェーデンの社会担当大臣レーナ・ハレングレンはこの発表を受けて取材に応じ、ワクチン供給契約はヨーロッパのInclusive Vaccine Allianceと結ばれたので、先に挙げられた国以外のEU諸国にも適応される可能性があること、またスウェーデンは別途アストラゼネカやその他の製薬会社とも継続的に交渉を行っていることを明らかにした。

ハルグレンはさらに、公衆衛生庁は必要があればすぐにワクチン入手のための素早い交渉ができるよう20億クローナ(約230億)まで国費から借りることのできる枠組みも整えたと付け加えた。

スウェーデンから出た企業とはいえ、アストラゼニカはもう国家を超えた存在で、世界の小国であるスウェーデンはこんな時の交渉が大変そうだ。それに、なんだかこういう時のモラルバランスはとても難しい。自国民を守る問題は、では他国民はどうでもいいのかという問題と表裏一体である。自分の考え方の軸をどこにおけばいいのだろう?

さて、今週はこちらでは今日以降も驚くようないい天気が続きそうだが、金曜日の肝心の夏至祭の日のお天気はやっぱり悪くなりそうで、ここはスウェーデンはやっぱりはしごは外さなそう? どうぞ、みなさまもよい一週間を!

ワクチン交渉に振り落とされないための20億クローナ

アストラゼニカが新型コロナワクチンの超大型契約をまとめる

© Hiromi Blomberg 2023