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本屋の責任、読者の責任。スウェーデンの場合

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「予防注射は必要ない」と書かれた子供向けの本がスウェーデンの大手書店の品揃えから消えた。3月には「自閉症は治療できる」と謳った本の販売も書店の判断で中止された。表現の自由が保障されているこの国で、これは本屋による言論統制ではないのか? と思う人もいるかもしれない。

しかし当然のことだが、私たち消費者が何を買うかの選択に責任があるように、営利企業である本屋にも何を売るのかの選択と責任がある。大手書店(スウェーデンでは本はネット販売が主流)Adlibrisの担当者は「私たちは人々を危険にさらす本は売らない。予防注射に関してはWHO(世界保健機関)とスウェーデン公衆衛生庁のガイドラインに沿って判断した」とコメントしており、本の内容がSNSで激しく批判を受けたところから本の再評価を行い、今回販売中止に至った経緯を説明した。

スウェーデンの2大本屋チェーンであるAdlibris(ネット)とBokus(ネット)/Akademibokhandeln(唯一残る店舗チェーン)では、両チェーンとも1000万を超えるタイトルを扱っている。

取り扱う本はポリシーに沿って決められるが、すべての本の内容を事前に誰かが読んで判断しているわけではないので、顧客や他の本の著者、メディアなどによる内容の指摘を受けて取扱の判断をすることも多い。当たり前のことだが、私たちも本の内容がおかしいと思ったら声を上げることが重要になる。

Bokus/Akadimibokhandelnの担当者は「出来る限り広く深い品揃えを目指しているが、取り扱わないことをポリシーで決めているものもある。まずは法に反するもの。そして売ること自体が法に反するのではないが、道徳的、倫理的に疑問視されるもの、例えば特定の民族グループを攻撃したり極端な意見の本は取り扱わない」、と話している。

出版社の方でとんでもないヘイト本や雑誌を作り、それが送りつけられてきてしまったら本屋も選べないけれど、日本の本屋も自ら選ぶことが出来る時はぜひ責任を持って選んでほしい、と強く思います!

ネット本屋がアンチ予防接種本を販売中止に

© Hiromi Blomberg 2023