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『チェルノブイリ』で変化したヨハン・レンク監督の原発への見解と、もうひとつのこと swelog weekend

超話題作とスウェーデンとの関係

IMDbでの評価があの『ゲーム・オブ・スローンズ』を超える9.7となり、先週シリーズ最終回が放映されたHBOのドラマシリーズ『チェルノブイリ(原題・Chernobyl)』。

スウェーデンとも関係の深いチェルノブイリ原発事故。今回も重要な役どころでステラン・スカルスガルドが出演していたり、ぜひ観たい、ですよね。

さらに、ドラマとスウェーデンの関係はスカルスガルドの出演だけではなく、この全5回のミニドラマシリーズの監督が、今、スウェーデン人の映像クリエイティブとして世界で一番成功しているヨハン・レンク。彼の名前を知らなくとも、彼が作り出した映像を見たことがある人はきっと多いと思います。

売れっ子映像、TVドラマ監督

まず、ヨハン・レンクは近年のドラマシリーズだけでも『ブレイキング・バッド』や『ウォーキング・デッド』のエピソードを監督しています。

1966年にスウェーデンで生まれ、医師・医学研究者である父の仕事で世界中を転々とする幼少期を送った彼が、スウェーデンで歌手スタッカ・ボー(Stakka Bo)としてスマッシュヒットを飛ばし、有名になったのは1993年のこと。

その後、長らくは成功した広告映像の監督として、フェンディやシャネル、H&M、ナイキ、アウディなどの有名ブランドのビデオを制作していました。2001年にはアメリカに本拠地を移し、ミュージックビデオでも、デヴィット・ボウイの最後のアルバム『★』の「ラザルス」をはじめ、マドンナ、ビヨンセ、ロビー・ウィリアムズはじめ、大物たちとの仕事を続々とこなします。

 

広告世界で働いていれば1日35万クローナ(約410万円)のギャラを稼ぐヨハン・レンクにとっては、今回の『チェルノブイリ』の成功も、商業的には数々の他の成功の一つにすぎないのかもしれません。

だが、やはり『チェルノブイリ』は、この先の彼の仕事や生活に大きな影響を与えたそう。今週末のダーゲンス・ニュヘテルに掲載されたインタビューで彼自身が話しています。

社会的影響力について考え始める

まずは『チェルノブイリ』に関するスティーブン・キングのこのツイッター。

 これまでのキャリアではメディアの影響力について考えたことがあった程度だったヨハン・レンクは、『チェルノブイリ』制作の過程とその後の反響などから、技術革新がもたらす私達への影響や社会文明批判といったことも考えるようになります。

「まさに現代でも、気候変動問題に関する科学的な分析を「ひとつの見解」とする人たちがいる」と、チェルノブイリ事故から何も学んでいないような人たちに対する鋭いコメントも。

「これからは自分が何を選んで何を行うか、その一つ一つが深い意味をもつようになる。これまで脚本を選ぶ時には考えたことのなかったこと」と、自身の変化を説明する彼は、「『チェルノブイリ』は究極的には原発の危険性の話ではなくて、嘘、透明性の欠如、真実を伝えない報道統制の恐ろしさに関する話だ」とも話しています。

社会的に意味のある仕事

自分のこれまでの仕事は「うわっつらだけで、誰の人生にも、社会にも意味のある影響を与えることがなかった」と、2016年のスウェーデンの夏の人気ラジオインタビュー番組で語っていたヨハン・レンク。

sverigesradio.se

自身の家族や親族に医者や医療に関わる人が多く、彼らが具体的に人を救うという尊い仕事をしているのに比べて、自分の仕事の意味を問うこともあったようです。

次期アメリカ大統領戦へ注目を集めているアレクサンドリア・オカシオ=コルテスのためになにかできないかとのアイデアについてインタビューでも言及するなど、今後、どのような社会的インパクトの強い仕事を選んで、実行していくのかが楽しみな人になりました。

そしてもうひとつ学んだ自分と家族の新しい関係

そして、これまで撮影から撮影へと旅ガラスだったヨハン・レンク。

『チェルノブイリ』の撮影にもリトアニアに7ヶ月滞在することが必要で、このあまりに魅力的な仕事を引き受けたことを、その直前の撮影ではセルビア、モンテネグロでの1年間の滞在を強いられ、そこから家族で戻ったばかりの妻エリンにすぐ話さなかったことが、夫婦間の大きな危機となったそう。

6年前の2度めの結婚で妻となったエリンとの間に次々と4人の子供ができ、それまでの気ままなバチェラー生活とは異なる人生の意味も見つけたヨハン。これからは家族間でも情報統制はなし、透明性の高い家族を目指すそうです。

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ヨハン・レンク ーこれからは自分のやること一つ一つが意味を持つ