世界的にみると「高負担」と称されることの多いスウェーデンの税制度だが、住民たちからそれほど不満の声があがらないのは、税収と支出の関係がわかりやすく、かつ私たちが理解できる範囲で予算が組まれていることにもあるように思う。
ほとんどの人はコミューン(市町村)とレギオン(以前はランスティングと呼ばれていた単位。都道府県に相当)にのみ所得に関連する税金を払っており(所得が高くなると国へも税金を払うことになる。最高25%もの消費税も別途ある。詳しくはこのあたりの説明がわかりやすいかも)、その各地方自治体が提供してくれるサービスも、コミューンなら基礎教育と高齢者向けサービス、レギオンは医療サービスや地域公共交通とわかりやすく、各自治体で集められた税金とそのお金の使い方の関連性がはっきりしていて、政策の論点が理解しやすい。
例えば、すべての医療サービスを高レベルで提供できるだけの税収がない場合は、サービスを犠牲にして予算を抑えるか、それとも税収を増やしてサービスを充実させるのか、あなたはどちらがいいですか?、と考えることを強いられる。
そして、2020年は新型コロナウイルス対策でこれまでにも国から地方自治体に210億クローナ(約2600億円)の各種助成金が出た。政府はこの先、2021年、2022年にも各125億クローナ(約1550億円)をパンデミック対策助成金として拠出することをすでに約束しているが、地方自治体連合会はコロナ前から厳しかった予算はさらに厳しい状況で、政府から2020年と同程度の助成金が望めないのなら、多くの自治体は来年は増税を余儀なくされるだろうとの見解を明らかにした。
コロナ対策関連の直接的な費用負担は国がレギオンへ助成金を出しても、例えばコロナ禍の中、みんなが歯医者やコロナ以外の医療で病院にも以前と比べると行かなくなり(歯科などはサービス提供レベルも3月以降かなり制限されていた)、激減してしまった医療収入やステイホームで減った公共交通機関からの収入は、簡単に回復できるレベルにはない。
歴史を少し振り返れば、1976年にオリンピックを開催したツケ(?)で、その後何十年も市民がオリンピック特別税を払っていたモントリオールのような例もある……コロナで税金が増える事態が起きてももまったく不思議ではない。
学校への放火がとまらないルンドも、保険がどこまでカバーしてくれるのかよく知らないけれど、「放火新税」とかで来年コミューンへ払う税金が増えることになったら、これは子どもたちが集う校舎のためには払うしかないかな、やっぱり(超テキトーな推測ですみません😅)