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お店が恋しい

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スウェーデンの大手銀行SEBによると、スウェーデン人のカードでの購入はコロナ危機の状況下で25%〜30%程度減少している。この国がキャッシュレスであることを考えると、これはほぼ消費全体の数字としてみてもいいのかもしれない。

消費の落ち込みは、経済や雇用の状況が不安定であるため将来に備えると意味もあるだろうが、SEBではこれは単純に消費の機会が減少した結果だとみている。

SEBの2020年3月のデータをみると、スウェーデン人の交通費は前年比で半減、また旅行費は75%減っている。同時に食料品費は36%増加した。衣服支出は25%減少しているが、これは店舗での売上が劇的に減少していることに加えて、その減少分すべてをEコマースでカバーできている状態ではないということらしい。

リモートワークに切り替えるなど、スウェーデン人が行動を大きく変化させたのは3月半ばだから、変化が調査対象期間の半分だけだった3月でも影響の大きさはかなりのものだ。

別の大手銀行Swedbankは、4月前半の2週間の数字をまとめているが、ここでは消費行動の変化はさらに大きく、旅行費は前年比94%の減少、ホテルやレストランに使ったお金は48%減少となっている。衣服費もEコマースでの購入分を含めても52%減少している。一方同時期の支出で増えているのが、ドラックストアでの購入やDIY用品、家電製品などだ。

Swedbankの統計分析担当者はこの傾向は、これから先も長く続くだろうとコメントしている。

Andreas Wallström on Twitter: "🇸🇪 The Consumer Spending Observer!
- Spending down 25% y/y first two weeks in April
(ex. groceries & pharmacies)
- Hotels & restaurants down 50%, airlines & travel down 95%.
- Home electronics & DIY has incresed.
- Bunkering of toilet paper, food & pharmacies took place in w..11… https://t.co/wmHh3fL287"

 スウェーデンの決済手段大手のKlarnaは、これまであまりEコマースで買物をしていなかった高齢者や地方に住む消費者もネットでも買物をしはじめた傾向が顕著になっていると報告しているが、同時にこの傾向は一時的なもので、コロナの危機がおさまり自由に行動できるようになると、また店舗での買物へと戻る人がほとんどだろうと分析している。

Eコマースの便利さを発見する人が増える一方で、「お店」の魅力に改めて気づく人が多いだろうという見方だ。私も今、欲しいものはないくせに「お店」が恋しいなぁ。

コロナ危機は私たちの消費行動をこう変えた

© Hiromi Blomberg 2023