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コロナ禍における世界の、そしてスウェーデンでの男女格差

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女性の権利に関する国際的な会議である「第65回国連女性の地位委員会」が先週閉幕を迎えた。

スウェーデンの元ジェンダー平等担当大臣で、現在は国連の女性の権利部会の副代表として働くオーサ・レグネルが、委員会で議論された女性が置かれた危機的な状況をSVTのインタビューで話していた。

レグネルは「測定可能なすべての領域において、コロナ禍は男性よりも女性に大きな打撃を与えた」と説明する。失業者は女性に多く、女性への暴力は増し、貧困に陥った人には女性が多い。女性が貧困に陥ることが子供への貧困へとつながり、ひいては社会全体が大きな影響を受ける、と彼女の説明は続く。

国連は、コロナ禍で世界各国の政府が導入した経済危機対策を分析して、女性が置かれた社会経済的状況に対応しているものは全体の20%でしかないと指摘する。レグネルはジェンダー平等に関して議論をする政府は増えてきたものの、現時点でも世界の国会議員の中で女性は25%しかおらず、国の意思決定の場にはさらに女性を増やすことが重要だと強調する。

スウェーデンでも、例えばコロナ禍での失業者は小売りや接客業を中心に女性に多い。また女性の個人事業者は、政府からの各種支援金、補助金を受け取ることが男性と比べて極端に低いこともわかっている(女性の事業者へのコロナ補助金は少なく(SVT))。

また、コロナ禍で女性に対する暴力は20%〜30%増加したと国連は推定しているが、スウェーデンでも女性に対する暴力や抑圧が増えていることを、全国130ヶ所の女性用シェルターの取りまとめ組織Unizonが報告している。(Unizon報告・コロナ禍で支援を必要とする女性が大幅に増加(SVT)

さらにスウェーデン労働環境庁のまとめでは、2020年に仕事が原因で病気になった人は特に女性の間で119%増え、倍増したこともわかっている。

昨日ツイッターでちらりと「欧米に比べて日本は『男性優位社会』と言われるが、そう感じた事は無い」とテレビで発言したタレントの話を見かけたのだが、この人に今ここにある男女格差についてはどう考えていますか? と聞いてみたいものだな。

コロナ禍で男女平等が後退した5つの分野(雇用・無給の家事・女性への暴力・貧困・病気)(SVT)

国連幹部がコロナ禍について「ジェンダー平等において危機的状況に

© Hiromi Blomberg 2023