と書かれた第一次報告書を昨日提出したのは、5月に政府が設置を決めたコロナ監査委員会。
コロナ禍で政府が適切に対策をとったのかを監査するこの委員会の最終報告書は2022年9月の次の統一選挙の前に提出されることが決まっているが、今回のコロナで高齢者の死者数が非常に高いことから、左党などが高齢者施設・住居での対策の監査をすぐに行い、早い段階で改善していくべきだと要請を出していたものを受けた形だ。
委員会からの報告は非常に厳しいもので、重大で明らかな失敗であり、対策は遅すぎ、また高齢者向けの各種施設はパンデミックを想定した準備がまったくをもって不十分であったとまとめている。
そしてこのような結果を引き起こしたのはコロナ禍以前から存在し、また長らく指摘され続けてきた高齢者福祉そのもの構造的欠陥であると言い切っている。
そしてこの責任の所在は、官庁、コミューン、民間の事業者などにもあるが、最も大きな責任は、問題があることを知りながら対策をしてこなかった現政権とこれまでの政権にあるとした。
具体的には、高齢者福祉を提供する責任を担うコミューンがパンデミックを想定してどのような対策や準備すればいいのかについて国からの方針が示されておらず、また感染が広がった際には官庁からの動きも後手に回ったという点だ。
監査委員会が示した改善策としては、高齢者施設で時給で働く不安定な雇用を減らし、また医師や看護師などのきちんとした医療知識をもった人をより多く関与させ、それを支える医療機材などもしっかりと設備することなどだ(問題点と改善策は下記にリストでもまとめた)。
コロナ監査委員会のマッツ・メリーン委員長と共に記者会見に望んだレーナ・ハレングレーン社会担当大臣は、失敗したことは明らか、と認め、必要とされる医療体制をどのように作っていくかなどに関して、すぐに調査委員会を制定し作業を進めていくことを約束した。
スウェーデン政府が失敗を認めた、といっても今回の監査対象は高齢者福祉関連に限ったものだったのが、これがまたなんだかまた、ロックダウンなしで要請だけで社会をまわした点に結び付けられたりして、誤解をまねくような形で世界に伝わっていきそうなのがちょっと気になるけど。
コロナ監査委員会から報告「スウェーデンは高齢者を守ることに失敗した」
高齢者福祉の問題点と改善案(コロナ監査委員会が構造的な、そしてまたパンデミック対応に関連した問題として指摘したもの)
- 高齢者福祉の領域内で分断化した組織構造
- 人材の強化とその人材の能力と雇用形態の向上が必要
- コミューンが主体となり、医師の雇用や医療設備の設置する可能性の検討
- 決定と対策が遅くまた十分ではなかった点の改善
- 防護用具関連した問題
- 検査の開始が遅れた点
- 面会禁止策は遅すぎてまた十分に考えられたものではなかった点
- 医療機関での医療を受ける際のガイドラインが危険をはらんだものであった点
- 医師の不在そして個々人に対応した医療の必要性確認の欠如