土曜日に取り上げた「電力が足りなくなる寒い日は掃除機をかけないで」の話を発端として、スウェーデンで再び原子力発電に関する論争が沸き起こっている。
保守政党の穏健党、キリスト教民主党は、電力が足りないのなら国民に掃除機を使うなと言ったり、ポーランドから化石燃料発電による「汚れた電力」を輸入したりせずに、原子力発電で賄うべきだ、と政府批判の意見を強くする。電力不足で工場が稼働を中止するなんてもってのほかだ、とも。
SNSやテレビのニュース番組でも、連立政権のもと原子力発電削減政策を中心なって進めてきた環境党と、産業界の意見を代表する穏健党の政治家とそのサポーターたちが激しいディベートを戦わせている。
昨日の夜のエネルギー担当大臣へのインタビュー番組では、今回の掃除機論争に似た話は以前にも繰り返されてきたことが指摘されていた。穏健党が与党であった時代に同様に電力量が足りなくなった時には、当時のエネルギー担当大臣は「分厚いセーターを着込むこと」を推奨していたそうだ。アンデシュ・イーゲマンエネルギー担当大臣によると以前原子力発電基が10基稼働していた2010年と比べて、6基しかない現在の方がポーランドからの電力輸入量は減っているという。
スウェーデンの世論・オピニオン研究行っており、このブログでも度々その調査結果を引用しているヨーテボリ大学のSOM研究所は、スウェーデン人の原子力発電への賛否の意見は常に拮抗している、という。なにか大きな出来事があるとその反対意見の声が高くなる。今は段階的に削減している状態なので、削減反対の意見が強くなるという。
SOM研究所の名誉教授で50年続くスウェーデンの原子力発電削減論争をみてきたソーレン・ホルムベリは「長い目でみると長期的に緩やかな削減を続けていくべきだという意見の方が多いが、近年は保守3党に代表されるように原子力発電の再稼働を求める声が高まっている」と話す。さらには原子力に関する論争は人の日常生活を左右するエネルギー問題や、その安全性さらにはイデオロギー的なものまで、政治的に重要な論点をすべて取りまとめて核にしたようなものなんで、これからも議論は折に連れ白熱することがあっても止むことはないだろう」という。
白熱しているのなら、私の意見も表明しておこう。私は原子力発電は削減していくべきだと考えているし(できるならすぐに全部止めてほしい)、ポーランドから電力輸入もしてほしくない。掃除機もかけてないけど、それはそんな政治的態度とは別に電気代高くなったら嫌だなーというのが理由だが、こんな時に限って天気がよくて、さらにはリモートワークで一日中家にいるので、灰色の空の普段の冬なら見えない家中のほこりがばっちり見えて困っています。