インフルエンサーが排除を呼びかける
ツイッター、FacebookといったSNSプラットフォーム上で数十万のフォロワーがいる影響力のあるインフルエンサーが、自分が問題だと思った発言をする人物を排除せよと訴えかけるデプラットフォーミング(Deplatformning)がスウェーデンでも目につくようになってきた。表現の自由とのバランスが難しい問題だ。
アメリカで先行
アカデミー賞の司会を担当する予定であったケヴィン・ハートが、9年前のSNSでの半同性愛発言で降板することになったのも、デプラットフォーミング。インフルエンサー達がターゲットとなる団体に講義せよ、と自分のフォロワーたちに働きかけ大きな動きになっていく。
スウェーデンでは「トランスジェンダーのフェミニズムに果たした役割」という論文が論争を引き起こしたジャーナリストをコンフェランスのパネルから排除せよ、というムーブメントが起こったのが2018年。
昨年末には、人気のミステリー作家のカミラ・レックバリが、問題視されているスウェーデン・アカデミーの会員をやめさせるよう、アカデミー事務局にメールを送ろうと自身のフォロワーに働きかけたことも記憶に新しい。
デプラットフォーミングの問題点はどこにある?
今年にはいり、SNSやポッドキャスト、また新聞の論説などでもインフルエンサーが先導するデプラットフォーミングの問題点が様々な角度で議論されている。
大手タブロイド紙Expressen文化担当部長カリン・オルソンは、この傾向が続くと炎上を恐れメディアには無難な意見しか提示されなったり、尖った人を雇ったりしなくなる危険があると自身の論説で書いている。
Mr.Cool問題
コミック芸人Mr.Coolは2015年にペドフェリア(小児性愛者)を皮肉った歌を発表し、これはスポッティファイでも聞くことができた。
子供の権利に関する活動家で自身のインスタグラムで数十万のフォロワーがいるオピニオンリーダーが、この歌を排除するようにスポッティファイに働きかけようと訴えた。
ここで論点となっているのは、彼女はスポッティファイへの運動を呼びかけただけにも関わらず(スポッティファイはチャイルドフットをスポンサードしているので、この歌の配信をすることは矛盾しているという指摘)、Mr.Coolを起用することによる批判をおそれたコメディショーの主催者達がMr.Coolの起用をやめてしまい、彼は完全に干された状況にある。
人々の生活の糧をいとも簡単に奪ってしまうこのインフレンサーたちの影響力をどうみるのか?これからも熱い議論が続きそうだ。
「表現の自由を奪う」デプラットフォーミング手法についての熱い議論 (SVT Nyheter)