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勝手に殺さないで

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「ご遺族の方へ・彼女が亡くなられた後も続けて年金を払いすぎてしまったので、返金してください」。そんな手紙を年金庁から受け取ったグッドルンさんは驚いた。だって自分はまだ生きているから。

ソレフテオに住むグッドルン・ヴェストマンさんはシステム上死亡したと登録されてしまい、自分が生きているという状態を取り戻すために大変な目にあった。

一度登録された死亡者情報はあらゆるところですみやかに共有される仕組みになっているらしく、スーパーマーケットのICAやCoopからも、亡くなられたので登録を取り消しますというお知らせが送られてきたそうだ。

スウェーデンでの住民登録を担当している税務庁の担当者は、死んでいないのに死者として登録されてしまう事例は近年増えていると説明する。10年ほど前は年に1度あるかないかレベルだったのに、昨年スウェーデンで間違って死亡したと登録された人は23人。月に2件程度の重大なミスだ。

グッドルンさんの場合は、彼女と同名の人が亡くなった際にその担当医がきちんとパーソナルナンバーを確認せずに登録してしまったことが原因だとみられている。

最近は歯科の検診やマンモグラフィで病院を訪れた時に、間違いを防ぐためだろう、最初に本人確認のためにパーソナルナンバーを言うように指示されるが、相手が死者だと確かにパーソナルナンバーを言ってもらうわけにはいかない。それにしても、これは不注意による人為的なミスだ。

2年ほど前に義父が介護施設で他界した時には、死因確認のための医師が到着するのを長い時間待っていた。その時にはその場にいた私たち遺族がパーソナルナンバーを一緒に確認したような気もする。ミスが増えている背景には一人で亡くなる人が増えているといったようなこともあるのだろうか? (←まったく勝手な私の想像です)

人為的なミスが近年増えているのなら、しっかり根絶する方法を考えてほしいが、税務庁の担当者は間違って死亡登録されるケースには数は少ないが、もっと悪質なものもあると話す。生命保険を騙して受け取ろうという犯罪や、まただれかを社会から抹消しようとの悪意で行われることもあるという。

インタビューに答えていたグッドルンさんは髪型もファッションもすてきな86歳の方だった。高齢とはいえ、ちょっとほんとに勝手に殺さないで。

ソレフテオの86歳のグッドルンは、医療機関のミスで死亡したとされてしまう

税務庁コメント・死亡登録ミスは増えている

© Hiromi Blomberg 2023