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スウェーデンのちょっと違った「ほんまかいな!」なニュースから、毎日ひとつ選んで紹介しています

4000名という死者数をどう考えればいいのかを考える

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新型コロナウイルスによるスウェーデンでの死者数は、今日にも4000名を超える。

2週間ほど前にポッドキャストに出演した時に「スウェーデンの死者が3000人を超えたという重くて辛いニュース」の話をしたのも記憶に新しいが、コロナによる死者の数はこれからも確実に(といっていいのかどうかわからないが)5,000人、6,000人と伸び続け、最終的には万の単位を超える人がこのパンデミックで亡くなるのだろう。

直近の週の統計をみると、人口比率あたりの死者数はスウェーデンが世界で一番高かった。死者の数が大台に乗ったり「世界で一番の死者の割合が高い」という言葉が舞うと、また「スウェーデンのやり方は間違ってないのか?」という声が大きくなる。

混乱しそうになる自分の頭や気持ちを整理するには「人口比率あたりの死者数を比較するのはあまり意味がなく、するのなら(もしもそれが可能であるば)社会の中でどれくらい感染が広がり死者がどれほどでたかの比較であればまだ意味がある」という専門家の意見が役に立った。

いずれにせよコロナの影響は長期に渡るので、現時点の数字だけを切り取って比較しても意味がない、と数少なくないスウェーデンの専門家達は話している。でも世界中の多くの人が関心をよせているのは「奇妙な方針をとっているスウェーデンの現在の死者数の異常な高さ」なので、この数字はこれからもずっと人々の関心を集めるだろう。

スウェーデンのニュースメディアも、もちろんこの4000名の数字を持って公衆衛生庁の疫学の責任者アンデシュ・テグネルにインタビューしている。

テグネルはスウェーデンラジオSR1 が今日公開した番組で「死者数とその高齢者特別住宅との関連性をみると、(スウェーデンが)仮にロックダウンしていたとしてもその結果に大きな違いはなかっただろう」と話している。

スウェーデンの社会全体がロックダウンしていても、高齢者の介護施設で行われるべきことが行われていなかったのなら、やはり感染と今は同じように広がってしまっていただろうという見解だった。

Anders Tegnell – symbolen för Sveriges Coronakamp 24 maj kl 08.05 - Söndagsintervjun | Sveriges Radio

(上は54分のラジオインタビュー番組へのリンク。インタビューのまとめ記事も既に掲載されていて、これはこのリンク先から読める。テグネル「ロックダウンしていたとしても高齢者施設での感染拡大は防げなかっただろう」

新型コロナの死者が特に高齢者特別住宅(主に介護を必要とする高齢者のための住居施設。入居者が入居してから入院やまたそこで亡くなるまでの平均滞在期間は約6ヶ月であると、たまたまスウェーデンの集合住宅政策の本を読んでいた夫が横から教えてくれた)から多くでたことに関連して、昨日社会庁は「今年の1月から4月までの4ヶ月間で高齢者特別住宅で亡くなった人は1万1千人で、これは2019年と比べると10%程度の増加となる」と発表した。

続けて社会庁の担当者は「高齢者施設の高齢者を(コロナから)守れなかったというなら、私たちは通常のインフルエンザからも守れていなかった可能性がある」と話した。ちなみにスウェーデンでは毎年約9万人が死んでいく*1

新型コロナウイルス感染によるスウェーデンの死者の数が5000名を超える時、私はまた動揺するのだろうか? それとも「悲しいけれどもパンデミックとはそういうもの」と考えることができるのだろうか?

スウェーデンでのCovid19による死者が4000名に近づく

社会庁発表「高齢者住宅での死者数は通常のインフルエンザの季節と比べてそれほど高いわけではない」

*1:9万人の数字については下記でいただいたご質問と私からのコメントを参照ください