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EPAと日本の食

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喜んでいていいのだろうか?

先週の金曜日に発効された日本とEU間の経済連携協定、EPA。

関税額の変更、非課税障壁の撤廃、公共調達への参加の容易化、データ保護や知的財産権に関する項目に至るまでカバーする領域は多岐に渡るが、私達への普段の生活で一番わかり易いのはやはり関税に関わる部分だろう。

EUの住民の私としては、これでおいしい日本のお米やお酒を安く買うことができるようなり喜んでいいのだろうが、協定のもたらす影響をまとめた記事を読んでいるうちに、自分が享受できそうな利益とは別に、日本は大丈夫なのだろうかちょっと心配になってきた。

日本の製造業のヨーロッパ現地生産

今回の協定では、日本からは例えば自動車の輸出が、ヨーロッパからは食料品の輸出が増えるとみられているが、日本の輸出を背負っている製造業は既にヨーロッパ内で「現地」生産しているものも多い。

例えばトヨタはヨーロッパ内で販売している車の実に70%を域内で生産している。現時点での車の関税10%が7年かけて段階的に撤廃されても、影響が出るまでには時間がかかりそうだ。日本で人気の高級ヨーロッパ車はすぐに売りやすくなるだろう。

日本の小さな製造業と日本の食

私の限られた知識で考えると、日本側で協定の利益を被りそうなのは、日本の小さなニッチな技術を持った製造業。存在が脅かされそうなのはやはりヨーロッパからの安い輸入品に負けそうな日本の食料品だろう。

日本の人はどうか、毎日自分が何を買うかの選択が、明日の日本の農業、漁業、ひいては日本の食料自給率を決める、と肝に命じて買い物されてください。

日本とスウェーデンの関係は

ちなみにスウェーデンで日本への輸出に従事している会社は2784社。

約200億クローナ(約2420億円)のビジネス規模で15298人を雇用しているそうだ。

スウェーデンでEPAが有利に働くと見込まれているのは、医薬品、食料品、木材関連産業の分野。スウェーデンにいる日本人にも、これから日本との貿易関連の仕事が増えるかもしれない。

 

あなたがEUと日本の経済協定に留意しなければいけない理由(SVT Nyheter)

© Hiromi Blomberg 2023