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コロナの中の1トンの鶏糞

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私の暮らすスウェーデン南部の街ルンドは、中世の面影が残る美しい大学都市だ。

この小さな街が世界の人々の記憶に残るなら、12世紀に建てられた威厳ある大聖堂や街中の瀟洒な石畳であったり、緑あふれるキャンパスのルンド大学の優れた学術研究だったり、世界最新の技術革新を競う活気あふれたITや製薬企業クラスターであればいいなと常々思ってきた。

なのに、このコロナ危機の真っ只中、ルンドは「1トンの鶏糞」と共に人々の記憶に残る運命にあったとは!

今日4月30日は、日本で知られている名前では「ワルプギス」、スウェーデン語では「ヴァルボリ」と呼ばれる特別な日だ。夜には公園や海岸などでメーデーを迎えるための大きなかがり火が焚かれ本格的な春の到来を喜ぶ、美しくも物悲しい夜を迎える。

そんなヴァルボリの日は、いつの頃からかルンドでは3万人近い学生が大挙して市民公園に押しかけ、一昼夜芝地の上でぎゅうぎゅう詰めになって大量の酒を飲み続ける世紀の屋外飲み会イベントの日になってしまった。

毎年毎年「飲んだらゴミは持ちかえってね」と言い続けているにも関わらず、一夜明けたら公園中に散乱するビールやワインの空缶、空瓶、そして食べ散らかした後のごみの処理を押し付けられて、これまでに堪忍袋の緒が何度切れたかわからないルンド市は、今年のこのコロナ危機の中でも学生たちが決められた通りには行動しないと確信するに至るだけの十分な根拠をもっていた。

そして今、若者たちが大挙して集まり公園でどんちゃん騒ぎをしては絶対にいけない。

市民公園全体を柵で囲い入場できないようにしただけでは十分ではないと思ったのだろう、ルンド市は急遽このタイミングで、公園中の芝地の上に合計1トンに及ぶ鶏糞肥料をまくことにした。

鶏糞の匂いは結構強烈なのでこれで若者たちもやってこないし、芝は肥料でイキイキする。誰が思いついたかは知らないが現実的で一挙両得。実利を好むスウェーデンらしいとても合理的な解決策だ。

さらには、ここまでしても若者たちが屋外飲みを始めてしまった場合はすぐに取り締まることができるように、警察も今日は一日中特別な監視ドローンを飛ばすなど強化体制で対応する。幸いなことに今日は朝から雨で、これも夜まで続きそうだ。

「1トンの鶏糞の街」として歴史に残ってしまうのはちょっと残念なような気がするが、「重要な局面でのアホな行動により新型コロナウイルス感染を拡大させた街」として名前が残るよりはずっといい。

1トンの鶏糞と警察のドローンでルンドの大宴会は阻止される