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スウェーデンの学術の危機問題

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ブログを始める前は、スウェーデンと日本ではニュースになるような問題はちょっと異なっているのではないか、となんとなく考えていた。今、2年半以上毎日ニュースを取り上げてきて、問題の表層となって出てくるものは異なるとは言え、その本質はあまり変わりないと考えるようになってきた。

医療も介護も教育も社会保障も社会の多様化も、スウェーデンは世界でも他にもあまり例のないようなやり方であることが今あるとしても、その問題の本質というか、考えないといけない核となる議論は一緒だ。私たち人間が社会的な生き物で、同じ時代の同じような経済レベルの社会で生きているということを考えれば、それは至極当然のことなのかもしれない。

書きたかったのはスウェーデンの学術の危機問題である。

日本では政府が学者に理由も説明せずに圧力をかけるという学術会議問題が起こったが、今週スウェーデンでニュースになったのは、あまりにひどい誹謗中傷を受けて、新型コロナに関する研究を続けていた医師・大学教授がその研究を中止してしまう、という出来事だ。

ヨナス・F・ルッドヴィグソン教授はこれまでも「子どもはコロナで重症になりにく、コロナ感染拡大の要因であるとは考えられない」という研究結果を発表していた。そして彼の研究はスウェーデンのみならず外国からも激しい批判を受けることになった。

しかしルッドヴィグソン教授は研究を続け、さらにこの1月には「小学校ではずっと授業が行われていたにも関わらず、コロナで集中治療を必要とするような重症になった子どもや教師はほとんどいなかった」との研究結果を発表したところ、他の専門家からの研究方法や結果への専門的な批判だけでなく、世界中からSNSなどを通じて理不尽なものを含むさまざまな攻撃を受ける羽目となった。

それまではテレビなどのメディアにも登場して、意見の異なる人とも議論していたルッドヴィグソンは、不眠とストレスに悩まされるようになり、そしてついにはこれまで関わっていたコロナ関連のすべての研究から手を引くことを決めた。

ルッドヴィグソンのこの決定にはカロリンスカ研究所の学長が「非常に遺憾であり、学術の自由への真っ向からの攻撃である」とのコメントを、また、スウェーデンの学術担当大臣は「起こったことに深く失望している。学術の自由と民主主義にとって非常に深刻な問題である」と話した。

学術的な批判と、いわれのない攻撃はまったく異なるものだと考えなくてはいけないのに、コロナがその境をごちゃごちゃにすることに拍車をかける。

冒頭の私のつぶやきに戻ると、学術が危機にさらされているという現状はスウェーデンでも日本でも同じで、ただ日本では政府がそれを先導しておこなっている「だけ」の違いだけだとも言える。ふむ、あなたはどう考えますか?

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© Hiromi Blomberg 2021