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取り壊し住宅の部品再利用

 

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夫が入っている建築家組合の会員向け雑誌の最新号で日本の空き家問題が取り上げられていた。北海道の夕張の写真とともに紹介されていたのは、空き家に残された家具や家電製品から出続ける有害物質やプラスティックなどの問題。

記事によると、現在850万軒ほどある空き家は2033年には2000万軒を超え、日本の住宅の約3分の1が空き家となる計算だそうだ。記事では遅まきながら始まった行政側の法改正による対応や、成功してる空き家売買マッチングサイトなども紹介されていたが、日本の人口は2060年には7000万人、2100年には4200万人程度になる予想だそうで、かつ高齢化率も高いなど、やってくる変化の大きさ改めて驚いた。

もう住む人がいるとも思えず住宅的価値もなく朽ち果てていく空き家を、環境への悪影響をできるだけ抑えながら、これからどう廃棄処理していくのかは今後日本の頭の痛い問題になるはずだ。石でできたローマ神殿は朽ちるまま放っておいたらいつのまにか観光資源になったが、オーガニックではない日本の空き家には適切に処理をしないといけない有害物質がたくさんある。

さて、ヘルシンボリで50年前に立てられた集合住宅を取り壊して、新しい地区を開発するにあたり取り壊した住宅からの素材をそのまま新しい住宅に使用する試みが始まっている。

古い住宅から再利用される予定なのは階段の手すりや、バルコニーの柵、キッチンのシンクや外観に使用されているレンガなど。取り外されたパーツは洗浄されてから再利用される予定で、これで建設費用が抑えられるわけではないが新建築プロジェクト全体からでる廃棄物は減る。の初めての試みからの結果を今後の建設計画でも生かしていきたいとプロジェクトの責任者は話していた。

現在この開発が行われているのは、ニュースでは麻薬売買や殺人の話題が目立つ地区。地区のイメージを塗り替える新しい区画になるかな?

〈ヘルシンボリ市の対象地区の紹介ビデオ〉

ドロットニングホーグに新しく建てられる198戸は取り壊し住宅からでる素材を使用

© Hiromi Blomberg 2023