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キャッシュレスでニセ札を見分ける知識と能力をなくす

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昨日、久しぶりにスーパーで大きなカートを借りようとして、コインを持っていないことに気づく。大きなカートはカート置き場に繋がれている鍵を10クローナや5クローナのコインで開けて使い、またもとの場所に戻すとコインが帰ってくるという仕組みだ。

コインを持っている人も今は少ないし、もしかしたら他のやり方に変わっているのではと期待して確認しにいってみたが、鍵の仕組み自体は変わっていなかったので私は大きなカートを使うのを諦めた。他のカートを使っている人はどうしているかと眺めてみたら、みんな本物のコインの代わりにコイン型のプラスティックや、他の使えそうなものを詰めて鍵を開けているようだった。

現在スウェーデンで「現金」を使っている人は10%に満たない。おそらく世界で一番キャッシュレスが進んでいる国の一つだろう。

みんながお金がどんなものかわからなくなってきて、キャッシュレスなのにニセ札が出回っていることをこのブログでも書いたのが2019年の夏。

キャッシュレスの国のニセ札 - swelog 

その後も現金が日常生活から消えていったこの国で、今さらにまたニセ札が激しく出回っているそうで、2020年、ニセ札事件は著しく増えた。2019年は届け出されたニセ札事件は855件、総額80万クローナ(約1000万円)程度だったが、2020年ではそれが2654件に増え、その総額は320万クローナ(約4050万円)まで急増した。2020年のニセ札事件のほとんどが500クローナ札(約6400円相当)のニセ札だったという。

今「お金」を使うことがなくなった私たちは、ニセ札を見分けるために必要な知識と能力をなくしてしまったということらしい。

今の100クローナ以上の紙幣には、肖像画の横に角度によって光の反射で変わる筋がついており、同様のものは紙幣の右端にもついている。だが、そう教えてもらっても今私の家には、ずいぶん前にスーパーで計算が間違っていると指摘した時にカードへ返金してくれる代わりに無理やり渡された20クローナ一枚しかないので、確認することもできない。こりゃだめだな、私も。

キャッシュレス社会への道のり(SVT)

現金を使う人が少なくなってニセ札が増えた(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023