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スウェーデンのスパコンと幸せな研究者とヴァレンベリ財団

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久しぶりにめちゃくちゃ嬉しそうな人を見た。それは、ずっと欲しかったおもちゃを買ってもらった子どもではなく、スーパー・コンピューターを手に入れた研究者。

スウェーデンのリンショーピング大学で、新しくみんなの前にお目見えしたのは、この瞬間スウェーデンで一番速いスーパー・コンピューター「Berzelius」。世界的に有名なスウェーデンの科学者、Jöns Jacob Berzelius(すみません、私、存じ上げず)の名にちなんで名付けられたこのスパコンは、300ペタフロップス(わー、わからん)の性能を持っており、とても少なく見積もっても家庭用コンピュータ15000台に相当する(らしい😅)。

リンショーピング大学にはスウェーデン国立スーパーコンピューティングセンター(NSC)がある。今回1億5千万クローナ(約19億円)かけて構築されたこの「Berzelius」は、スウェーデン財界を牛耳るヴァレンベリ家のKnut and Alice Wallenberg財団からの資金で実現したもの。

偶然にも今年は、ストックホルムのKTH(国立工科大学)でも1億クローナのスパコン「Thora Dardel」が登場する予定で、こちらはBerzeliusに比べるとペタフロップス数(またでた!)は少ないものの、精度が格段によいスパコンになるそうだ。

このスパコンたちの使いみちだが、NCSのBerzeliusの方は、主に人工知能(AI)、機械学習(ML)の研究に使われる。これからしばらくはさまざまなデータを読み込みBerzeliusのニュートラルネットワークを鍛えていく予定だ。

一方、KTHのThora Dardelは、主に全国の大学の様々な研究で必要になってくる科学的な計算やシュミレーションに使われる予定で、今、私たちが直面している問題、コロナウイルスの遺伝子に関する研究や、気候変動問題を解決するために、例えば航空機周辺の空気の流れと使用燃料の関係をみるための計算といったものになるという。

しかし、スウェーデンの様々な研究、特に最近はAIやMLといった分野の資金提供を支えているはヴァレンベリ家のお金であることが多い。

一番いいのは、ヴァレンベリさんたちだけで投資先を勝手に決めないで、余っているお金(?)を税金として払ってくれれば、みんなで(国会で)で使いみち考えれるんだろうけど、まぁ、そうなると、NSCで子どものように喜んでいた幸せな研究者は見れなかったのかもしれないですな。

スウェーデン最速のスパコンが完成・次のスパコンもまもなく(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023