経済的に厳しい状況にある人たちが、SNS上で見知らぬ人たちにお金の援助を乞うことのできるバーチャル・グループが増え続けている。
「福祉が充実している」はずのスウェーデンでも、行政から生活保護を受けるには、その前に自己の所有物を手放す必要があるなど条件的にハードルが高い。毎月、ぎりぎりの収入で暮らしている人たちは、薬などの緊切な出費が必要になった場合対応できず食べ物を買うお金にも事欠く状況にすぐ陥ってしまう。
SNS上の十を超えるグループでモデレーターを務め、SVTのインタビューに答えているトビアスさん(仮名)によると、スウェーデンで同様のグループへの参加者の数は増え続けており、彼は各グループはお金を必要をする人たちが8割、援助をしようとしている人たちが2割程度で構成されているのではないかと推測している。
昨年NovusがSvea Ekonomiの依頼を受け実施した「スウェーデン人とお金」調査ではスウェーデン人の5人に一人が予測していなかった出費が3000クローナ(約35,000円)あると、借りる以外では対応できないと答えている。ちょっとした不慮の事態ですぐに経済的に困ったことになってしまう人は、実はこの国でも驚くほど多い。
「スウェーデンに”貧乏”人はどれくらいいるか?」を2018年にまとめたニュースクリップをSVTのサイトでいまもみることができるが、ここではスウェーデンでは国の定義で「絶対貧困(収入が一定の額、例えば一人世帯であれば一月12,100クローナ以下)」の人は減っているが(全体の6%)、「相対貧困(国民平均の収入額の60%以下の収入しかない人。14%)」の人は増えていると説明されている。要は所得格差が拡大しているのだろう。
こうしてみるとSNSの存在は「世の中で増え続けているよいこと」のひとつであるのは間違いない。