今回のコロナ禍でスウェーデンは幼稚園や小中学校を休校にしなかったが、子どもたちが感染拡大の主な原因となることは考えられず、また高齢者の死亡率との関連性は低いと結論づけるレポートが昨日、Acta Paediatricaに発表された。
レポートをまとめたのはカロリンスカ研究所の研究者グループで、5月11日までに発表された世界中の700の論文の中から子どもの感染拡大への影響について述べられている47の論文を選び出し分析をおこなった。
昨日はまた私が知る限りではスウェーデンでは初めて、18歳以下の子ども2名がコロナにより集中治療室で手当をうけているとのニュースをきいた日でもあった。このうち1名は小学校の低学年の子どもで、もうひとりは10代だ。
この発表はヨーテボリのサルグレンスカ大学病院が行ったものだが、同病院ではこれまでに1087名の感染者の手当を実施しており、そのうち18歳以下の子どもは18名で全体の1.7%だった。またそのうちの半数が新型コロナウイルス感染を主症状としたもので、あとの半数は他の病因と診断されたが、検査でコロナにも感染していたことがわかった子どもたちだ。
昨日はまた、公衆衛生庁が全国の約1000人を対象とした抗体検査の結果が初めて発表された日でもあった。これによるとストックホルムでは抗体をもっていた人が7.3%、感染が確認者が比較的少ないスコーネ地方では4.2%という結果がでた。
公衆衛生庁のアンデシュ・テグネルはこの結果について「もう少し高い数字が出ることを予想していたが、これまで想定してきたことと大枠で合致している」とコメントしている。
調査に使われたサンプルは今から3週間前に採取されたものであることに留意が必要で、現時点では抗体獲得率は20%近くになっているのではないかとテグネルは推測していた。公衆衛生庁では8週間にわたり毎週1200人のテストを続けることを決定しており、検査結果の発表は昨日が初回だったが、今後この数字がどう変化していくのかに高い関心がよせられそうだ。
また、この検査結果では高齢者では抗体獲得率が低いという結果もでたが、これは私たちが高齢者との接触をきちんとできだけ減らしてきたことの現れといえそうだ。
いずれにせよ、なにかひとつわかれば、またなにかがひとつわからなくなるような気になってしまうコロナの現状だが、そう思うのは私だけだろうか?
昨日政府は「ワクチン大作戦」の開始を発表したが「一年後にワクチンができていれば嬉しい驚き(カールソン公衆衛生庁長)」とコメントされたこのワクチン。私たちはそれまでの期間を”永遠のように長い”と感じて暮らしていくのか、”気がついたらワクチン注射の列にコロナ間隔で並んでいた”、となるのか、まだまだまったく予測がつかない。
【ワクチンに関する補足】スウェーデンでは2009年に豚インフルエンザが猛威をふるいそうになった時に、住民全員に向けてワクチンの接種を計画し、結果60%がワクチンを受けた。私も近くの診療所に接種のために並びにいったことをよく覚えている。ただし今回の新型コロナは人が集まってはいけないので、おそらく同じような感じで並ぶことはないだろう。
この時の大量ワクチン接種では、ワクチンはその冬だけではなく翌年以降のインフルエンザの流行に対しても効果があったと分析されている一方で、このワクチン(Pandemrix)による副作用(ナルコレプシーになった子どもがでた)が確認されており、下記の参考リンクにある記事では、政府は副反応がでた人たちにひとりあたり最大約1億1千万円の補償を約束したと報道されている。参考記事リンク